エピローグ

月曜日。翔太はいつも通り、弁当を持って階段を上っていた。

 昨日の日曜日は雨が降り、今日は屋上で昼食を食べれないのではと心配したが、打って変わって今日は快晴。雲ひとつないと言っていい天気で、気温も高め。今日の部活の練習は熱いだろうなと今から少し緊張する。

 階段を登り切り、一応掃除用具入れの裏を確認したところ、やはりそこに鍵はない。少しだけ笑ってから、翔太は屋上に続く扉に手をかける。ドアノブをひねり、扉を押しあけると、いつもの見慣れた場所に、いつもの少女が座って弁当を広げていた。その視線はやはり無表情に山に向けられている。

 その視線が、翔太に向けられ、その顔が少し笑顔に変わった。その顔を見て、翔太も思わず笑顔をこぼす。すこしためらいながらも、少女の隣まで行って、腰を下ろした。

「一緒に、弁当食べてもいいかな、楓」

「うん、翔太」

 温かい春の日差しが、二人を包むように降り注いでいた。



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物語はここで終わりです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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