正しいKPIとは?実践で役立つ考え方とトラブルの回避策
事業会社にいると、「KPIツリーを作ってほしい」「この施策はKPIにヒットするのか?」「設定しているKPIを見直したい」など色んな場面でKPIに紐づく会話が出てくると思います。
数字にコミットするKPI至上主義は良い面もあるのですが、正しいKPIを設定できていない場合や、自部署のKPIが他部署とカニバってしまい、上手く成果に結びつかないなどが起こり得ます。
私はこれまで事業会社やスタートアップにおいて、事業全体の戦略策定・KPI立案を始め、プロダクトの機能レベル、セールス活動まで多岐に渡る場面でKPIを策定してきました。
今回はそもそもKPIの目的や、指標はどのように要素分解すべきなのか?のような実践で役立つ考え方から、KPIが上手く機能しなくなるバッドケースまでを書いてみようと思っています。今まさに「KPIを設定しようとしている方」や「KPIが機能せず困っている方」に届くと良いなと思って書きました。
普段コンサルティングする際にも使う内容なので一部有料にさせていただいております。
KPIは何のためにあるのか?
まず組織においてKPIを掲げる必要性から考えてみましょう。
事業が成功しているかをチームメンバー、他者に説明するためには、この事業は何の数字が伸びると成功に繋がるのか?を分かりやすくする必要があります。それを誰でも分かるような指標で構成したものがKPIになります。
そもそものKPIの起源とは、20世紀初頭のデュポン社(化学メーカー)における投資利益率を展開したチャート・システムにさかのぼります。そして、その後もBSC(Balanced Scorecard:バランスト・スコアカード)の普及が進むなかで、KPIに注目が集まってきており、現在では経営管理用語としても一般化してきています。
出展:財務省財務総合政策研究所(http://www3.keizaireport.com/report.php/RID/268349/)
当時のデュポン社は、経営改善の目標を自己資本純利益率の上昇にあると定め、そのためには、構成要素である売上高純利益率(収益性)、総資本回転率(効率性)、財務レバレッジ(負債の有効活用)をそれぞれ改善する必要があることから、重要指標をKPIとして設定していた由来があります。
元々KPI自体経営改善の為に作られた言葉であり、徐々に派生して、事業や現場へも活用されるようになったと捉えることができます。
KPIは戦略や企画が正しく進んでいるかの羅針盤
言葉の起源通り経営に直結する指標で構成する場合もありますし、事業売上を成長するために必要な要素で構成する場合もあります。またプロダクトにおいては自分たちが企画開発している領域において必要な要素で構成する場合もあります。
共通して大事なことは、KPIは戦略や企画が正しく進んでいるかを誰もが客観的に判断できる羅針盤であることだと思っています。KPIを見るメンバーの解釈次第で良し悪しが変わってしまうのは良くないですし、避ける必要があります。
見ている領域ごとに、KPIは異なる
そしてもう一つ重要なことは、KPIは見ている領域によって意識している要素が変わります。ここを混合させると、ボタンが食い違った議論になりやすいので注意が必要です。
あなたが事業部長で、KPIの売上が下がっている原因を把握し適切な打ち手を考えたいとします。この場合購入者をさらに分解することや、広告を打って数字を伸ばす方法が無いか?色々考えられますよね。この時に今現場レイヤーが追っかけているKPIと必ずしも一致しないことはよくあるわけです。
もちろん全てが因数分解され繋がったKPIツリーを構築し改善することができるのが理想ではあります。ただ現実問題として難しいことが多いため、それぞれのレイヤーの領域別にトラッキングすべきですし、全てを一つの議論テーブルに載せないことが重要だと思います。
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