「できる幸せ。」
映画・「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」を観た。
謎が多かった世界的ベストセラー「ライ麦畑でつかまえて」の著者であるサリンジャーの生涯を描いたのがこの映画。
不採用の連続
恋人のスキャンダル
戦争の招集
戦争によるPTSD
恩師との軋轢
邪魔するファン
期待してくる出版社
純粋に「書くこと」を磨いて出版されることを目指していただけなのに、
予想以上の運命に邪魔されるサリンジャーは悲劇的だった。
このシーンが泣けた。とかじゃなく、観終わってからサリンジャーの生涯を改めて考え直すと泣けてきた。
まじで良い映画だった。すぐに本も読もうと思う。
この映画を観て、
自分にできることがあるって幸せなことだなと思った。
それに対して全く見返りが得れなくてもね。
恐らく、サリンジャーは自分が書くことしかできないとわかっていた。
もうこれしかないと道を決めていたんだよね。
だから、
不採用の連続でも、
戦争中になっても、
PTSDになっても、
書き続けた。
書くことが辛い現実を乗り越える支えになったんだ。
そして、とにかく書き続けた結果生まれたのが「ライ麦畑でつかまえて」。
まさに、自分ができることをとことん磨いた結果生まれた作品だ。
書くことしかできないとわかると同時に、
書く以外のことはできないともわかっていた。
自分の性格は難があり自己中心的で、なにか欠陥があるとわかっていたんだよね。
友達のつくり方、夫や父親になるすべを知ることができなかったんだ。
いわゆる「普通」ができなくてそれが葛藤や悩みのタネになっていた。
それでも「書く」ことだけはできるし、「作家」にだけはなれる。
だから、彼はひたすら書き続けた。
「ライ麦畑でつかまえて」以降、
隠居生活を続け出版もしなくなった理由は、祈りレベルで深化した「書く」ことの邪魔になるからだ。
最初は出版を夢見ていた彼だったけど、出版することが全てじゃないと悟る。
そして、見返りを求めず書くことに身を捧げれば幸せになると気が付く。
だから、出版されることがなくてもひたすら書き続けた。
くどいようだけど、彼の人生は書き続けた人生だ。
不採用をいくらもらっても出版を夢見て書き続け、
戦争中でも心の支えとなるから書き続け、
売れた後も書き続け、
最終的に見返りを得れなくても書き続けた。
言い換えれば、できることだけをとことんやり続けた人生とも言える。
見返りがなくても、何か一つでも自分にできることがあるってだけで幸せなことなんだよね。
多様になった現代、
選択肢が多くなったことはいいけどその分、働き方や生き方に迷ってしまう人は多いと思う。
「成功するには〇〇力を磨け!」
みたいなビジネス書がいくつもあるけど、結局何を磨いていいのかわからなくなる。
でも、迷ったらひとまず今自分にできることは何か?を考えてみるべきだ。
だって、それしかないでしょ。
今できることしかできないなら、今できることをするだけでしょ。
まぁ、それでもホントになにも無かったら読書すればいいんじゃないかな。
日本語をしっかり読めるようになって知識が付いて見える世界が広がれば、できることが見つかる可能性は高いからね。
実際、俺が毎日読書とnote投稿している理由は色々あるけど、
大きな理由の一つに「それができるから」ってのがある。
”読書と言語化は毎日できるから、それをとりあえず続けてみよう。”
そう思っているからやっているだけ。
ただ、これって凄く幸せなことなんだなと映画を観て思った。
幸せなんて普段は全く考えないし使いたくもない俺が、幸せとは?を考える良い映画だった。笑