小説⑦~Center of the X~
2160年 7月22日 21:00 広一中学校合宿セミナー
「お前まだ、走るの?終」
「はあ?もうばてたのか?だらしねえな」
終は、中学の頃、バレーの名門「広一中学校」に入学していた。中学バレーボール最後の公式戦。この試合だけは絶対に勝ち、中学校最後のバレーボールに花を飾って名門に行きたく、意気込んでいた。
「なあ、終、お前もしもバレーが人生から無くなったらどうする?」
走りながら話す、終の友人。
「考える必要も無い。俺がバレーを離したとしても、バレーは俺から離れない。戦う仲間と、戦う相手がいる限りな。」
「お前、勝負に執着抱くよな~なんで?」
「自分を超えられると思うスポーツがこれだった。、、、、脳みそもこれだった」
「あぁ、そういえば頭少し足りないんだっけ」
「違う。バレーに使ってるだけ」
「あっそ」
『ウ~、ウ~、カンカン』
「なあ、」
「、、、、」
「あれどこ向かってる、、、」
「、、、山火事だろ」
「、、、、どこの?」
「、、、、」
「走るぞ」
戻った先で見た光景を終は一生忘れないだろう。救出されているが、顔に灰が付いた仲間や、腕、足を負傷している生徒。担架に乗った先生。
一緒に戦ってくれる仲間が消え、自分には何もできないという現実は、俺に死を与える。