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【長編連載】アンダーワールド~冥王VS人間~ 第二部ー67

「行きたいイベント」

「今、十朱さんに聞いたんだけど、
弥生ちゃんが言ってたイベントって、
ミニチュアとかもいっぱい売ってて見れるってホント? 」

真剣な顔をして入ってきたので、
弥生は驚きながら笑顔で説明した。

「参加されてる作家さん多いわよ。
そういえばこの時期になると秋のイベントもあるから、
私も昔はよく売ってたな」

弥生が思い出すように話し出した。

「安達君も興味があるんですか? 」

向井の問いかけに、

「うん。十朱さんも販売してたって」

「そうなんだ。
夏とか冬は屋内じゃないと暑かったり寒かったり大変だから、
私は春とか秋の屋外個展に参加してた。
結構売れたのよ」

弥生はニコニコしながら言った。

「イベントって、そんなに沢山あるんですか」

向井が驚いて聞く。

「ありますよ。
イベントで生活されている人もいますから」

「へえ~」

トリアも興味深げに頷いた。

「俺、行ってみたい」

「安達君がイベントに興味持つなんて珍しいよね。
行ってみる? 」 

「でも、イベントだと、
この前みたいに倒れたらまずい……かな…」

「大きすぎると霊が集まるけど、
中くらいのイベントなら私達が行っても、
危険は少ないと思うわよ。
私は今でもよくイベントにいくもの」

「もう~声かけてよ~私だって行きたい」

トリアが文句を言った。

「今の次期だと、
○○○公園でもテントたてて、
色んな作家さんの作品が見られるわよ。
モールのイベントより木のある公園の方が、
悪霊になる霊の数は圧倒的に少ないから、
楽しめるんじゃないかな」

弥生はそういうとネットを開きイベントの参加者を調べた。

「安達君が好きなミニチュア作家さんもいるし、
アクセサリーもレザーも…
今回は私の好きな作家さんも……出てる! 」

そういって弥生が立ち上がった。

「このワンピはその作家さんから購入したの」

ふんわりとしたギャザーの切り替えが付いた、
チョコレートブラウンの洋服を見せながら、
参加者リストの作家を指さした。

「いいですね~手作り品のマルシェなんですね」

向井も興味深げにネットを覗いた。

「キッチンカーも出るから美味しいものも食べられるし」

「トリアも行くでしょ? 向井も行こうよ~」

珍しい安達の誘いに向井も笑うと、

「じゃあ、行こうか」

と言った。

「だったら……金土日で出店してるから、
混雑避けて金曜に行ってみる? 」

「行く!! 」

興奮気味の安達に向井達は笑った。

「………私も行きたいです」

「冥王は無理だよ。ここから出られないもん」

安達はそういうと弥生と楽しそうに話し始めた。

「………最近の安達君は牧野君に似てきた気がします」

「気のせいじゃないですか」

「………」

冥王はアヒル口をして向井を見た。

「それ可愛くないですよ」

その会話にトリアが可笑しそうに腹を抱えた。


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八雲翔
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