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都市部というアンビエント
電信柱の上、鉛色の雲が流れる、街灯に浮かぶ公園でコンクリートに生きる物の怪と団地の少年少女が戯れる
塗装の匂い立ちこめる高架下より、うち捨てられたビニール傘、昔ジュース、橋の上より、川に反射する信号の明滅の赤と青
深夜の学校のプールにいくつもの波紋、降っている、黙り込んだ校舎のなか、にじむ警報ランプの赤、向かいのテナントビルも無人
しかし一階には灯るコンビニエンスアのしるし、通過する銀色にあかるい快速、駅まえの踏切のルフラン
アスファルトに描かれた図形、飛び跳ねるレインコートの街っ子と都市部の物の怪、駐車場にもコンクリートの物の怪とカップルの傘
マンションのベランダから外を覗う人影、その下の路面の色彩、ネオンサインの明滅を歩く傘たちまでもが景色と化す
構造物の風景を内面化したわれわれは、そこに自然を見る権利を持っている、知ってか知らずかみずからもその風景をかたちづくる
構造物と構造物を生きるわれわれに、今日も幸福が舞い降りるようにと願いながら、その全体、都市部という自然に安らいでいる