Electric Ladyland
イーハトーブで、流氷というものを初めて見た。ベーリングからくる流氷。流氷から誘うジョバンニが着ているのは魔法のピーコート。飛び乗る。
教会のような室内。壁にしつらえられた本棚。テーブルを挟んでジョバンニと向かいあって座る。Electric Ladylandと刻まれた分厚い本を膝に立てたジョバンニと一緒に北半球から南半球を周遊する。
そして流氷はアラビア海の南、Electric Lady landに入った。Electric Ladylandは宝石のたくさん採掘される島だが、宝石そのものには価値がない。光度と彩度にこそ価値は宿る。それが宿るなら、たとえ硝子の破片だとしても、と、ジョバンニがいう。
圧倒的な女の数、入港なら物質の光度と色彩の度あいで駆け引き。光度と色彩に関しては慎重すぎるほど慎重で、それがたとえ硝子の破片だったとしても、と、ジョバンニはいう。
上陸した。
華やぐ色彩の港を往来する住人たちや船乗り、漂泊者たち。往来は、散策のように見える。しかもそれは即興の散策と見える。原色の街の上、緑したたる丘に、七色以上に彩られたシェルターのような建物が見える。
あかりの多彩さを祝うElectric Ladylandの主は、二年に一度、女性のなかからくじ引きで決まる。そのように人々はいう。労働は遊びと区別されない。ただし、輝いていなければならない、とも。
ジョバンニと暗くなるまで散策をした。夜になるにいくにつれ、あかりにあふれていった。街角にも巨大な樹木たちにも様々な色あいのあかり。夜鳥たちの首にもあかりがかけられ、夜空に灯っている。