ポジティブな言葉は共同体感覚を作る
◆口ぐせがネガティブな人
頑張り屋で,とてもまじめなのだが,よく落ち込み,なかなか思ったように事が運ばないことを悩んで、私のところにときどき相談に来る人がいました。
誰にでもうまくいかないことはあるのですが,私は,励ますだけでなく,なんらかのマインドをセットしてあげたいと思いました。うまくいかない要因に,なんとなく心当たりを感じている部分があったからです。
それは,その人の「ネガティブな口ぐせ」です。ネガティブな言葉が自分自身を不安にしていくのです。
◆ネガティブな言葉が 自分の不安や不満を大きくしている
マイナスの言葉は,不安や不満を増大し,行動が制限されていきます。私は常々、「成長はたし算である」とお話ししますが、そのたし算するチャンスを逃す可能性が生まれます。でも,私が一番危険だと思うのは,相手のことではなく,自身のことです。自分のマイナスな言葉に一番影響されるのは自分自身だからです。
ポジティブな言葉は,ストレスを軽減させ,行動を積極的にします。また,自身の印象もよくすることができます。脳科学的に考えても、「ありがとう」などポジティブな言葉を発すると,脳内にセロトニンが分泌され,気持ちが落ち着いてリラックスするからです。確かに,「どうしよう」「だめだ」というネガテイブな言葉より,「大丈夫」「がんばろう」というポジティブな言葉を聞く方が元気になります。
「ありがとうは魔法の言葉」というフレーズをよく聞きます。言われた側がうれしい気持ちになるのは当然ですが,言った側も「喜んでもらえてうれしい」と、無意識的に自己肯定感が高まるのです。このことは,我々の理念である「大切なひとり」につながるということを,私たちは強く認識しなければならないと思います。「ひとりひとりを大切にしようと」とする我々自身が,「ありがとう」を毎日どれだけ口にしているのかを,教師も生徒も自己点検していきたいです。その日々の実践は,私たちみんなの心の状態をよくしていくのです。
◆リアクションはポジティブに
ネガティブな言葉は、自分だけでなく、まわりの人との共同体感覚をつくりにくいという面もあります。「ネガティブな口ぐせ」の人にはもう一つの特徴があることに気付きました。それは,リアクションが悪い…リアクションもネガティブだということです。例えば,誰かが新しい提案をした時,「私は嫌です」と言葉にはしないまでも,嫌な感じを醸し出してしまっているということです。
まずは、「おもしろそうね」「ありがとう。もう少し詳しく聞かせて」と前向きなリアクションをすることです。とにかく最初のリアクションはポジティブにすることが大事です。意見を交流したり内容を詰めたりしていくのは、それからあとのことです。
ポジティブな言葉は,共同体感覚を高めます。よい対人関係の中では,お互いに「成長のたし算」ができ、高め合う環境をつくります。私は,みなさんには,そんなチームづくりを目指してほしいと思っています。