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買い出しのあとに

食料品の買い出しには、ほぼ決まったルートがある。まずは近所の産直から。ここはとても巨大で、野菜や果物、肉、魚、パン、卵、惣菜、菓子など、なんでも揃っている。県外のナンバープレートの車も多く、いつもたくさんの人で賑わっている。その日の朝に、生産者自らが並べる野菜はとても生き生きとしていて、しかも手頃な値段で手に入る。

野菜売り場では、季節の変化を感じることができる。日中はまだまだ暑いけれど、最近はレンコンやさつまいも、落花生などが並んでいて、秋が着実に訪れていることを知る。月に1度は有精卵の10個入りパックを、時々、干し椎茸や切り干し大根、よもぎ茶などの乾物も買い物カゴに入れる。

続いて向かうのは豆腐屋。地元産の大豆を使っているのが売りで、初めて食べたとき、その美味しさに悶絶した。それ以来、豆腐はここで、と決めている。木綿豆腐、絹豆腐、厚揚げ、がんもが定番で、時々無料のおからをもらって帰る。気持ちの良い若夫婦が営んでいる店は大変人気で、最近は県内各地のイベントにも出店しているそう。

ここ最近、入り口には「原材料費に伴う価格の値上げのお知らせ」が貼ってあり、商品によりそれぞれ20円から50円ほど高くなっている。けれど、こんなに美味しい豆腐だもの、多少高くなってもいつまでも店を続けてもらいたい。

豆腐屋の近くには、1830年(江戸天保年間)創業の麹屋がある。ここには月に1度の頻度で足を運ぶ。塩麹や玉ねぎ麹、甘酒などをつくるために、生麹を買いに行く。量り売りで100g単位と少量から買えるのが嬉しく、いつもきっかり200gお願いする。声をかけると「ちょっと待ってくださいね」と店の人が奥の麹室(こうじむろ)へ行き、新鮮な生麹を透明なビニール袋に詰めて持ってきてくれる。

生麹は乾燥麹に比べ、とても元気。発酵がよく進み、風味も格段に増す。今回は100gは玉ねぎ麹用に、残りの100gは発酵あんこ用に使う予定だ。麹屋のすぐ目の前にあるのは地元の酒蔵。こちらは創業1896年(明治29年)。以前、友人が手土産に、この酒蔵の季節限定生原酒を持ってきてくれたことがある。すっきりとしていて、水のように飲めてしまう美味しい酒だった。

その後、郵便局や銀行、図書館などに立ち寄り、氏神様にお参りして、豆乳やヨーグルト、納豆などを買いに大型スーパーへ。ドラッグストアや100円ショップも併設しているので、知らず知らずのうちに時間が過ぎてしまう。

帰宅し、買ってきたものを家へと運び入れ、食材をそれぞれの定位置へしまう。一度座ってしまうとなかなか動けないので、そのまま玉ねぎ麹を仕込むことにする。旨味の強い玉ねぎ麹は、常備しておくと普段の料理にとても役立つ。スープや炒め物に加えるだけで奥行きのある味に仕上がるから、切らさないようにしている。

今夜は厚揚げとオクラの玉ねぎ麹炒め、人参と切り干し大根のアーモンド和え、かぼちゃと長葱、茗荷の味噌汁、ご飯、梅干し。食後に巨峰と白ワインを少しだけ。

《玉ねぎ麹》(作りやすい分量)

玉ねぎ 300g
生麹    100g
塩       30〜35g
(玉ねぎの水分量が少ないときは少量の水を加えても)

1. 玉ねぎはすりおろすか、フードプロセッサーで撹拌する
2. 麹は手でほぐし、塩を混ぜ込む
3. 蓋付きのタッパーにすべての材料を入れてよく混ぜ合わせ、蓋をのせて (しっかりと閉めない)熟成させる。
 夏は5日ほど、冬は10日〜2週間ほど。1日1回、清潔なスプーンで混ぜ
 る。
4. いい香りがしてできあがったら、煮沸した瓶に入れて冷蔵保存。

炒め物のときは、玉ねぎ麹、黒酢、味醂を合わせるのがおすすめ