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信じることができるかどうか

最近は夜が明けるのが遅くなってきた。 今朝、6時半ごろに窓を開けると、空には小さな月が残っている。あまりにもきれいだったので、寒かったけれど上着を着込み、縁側からしばらく空を眺めていた。

先日の車の件がやっと落ち着き、平穏な日常が戻ってきた。あの気持ちの揺らぎが嘘のように、いまは心が凪いでいる。

今回、お世話になることになったのは、同じ集落にある自動車整備工場A。初めは、できれば、これまで車の購入やメンテナンスをずっとお願いしていた店Bで今後も、と思っていたが、希望の車との縁がなかったので、新しい店で購入することになった。

なぜ、当初はBにこだわっていたのか。それは、人柄だった。店のオーナーや奥さんはとても温かく、ちょっとした不調でもいつも快く対応してくれる。質問魔のわたしに、どんな些細なことでもしっかりと答えてくれた。そんなこともあり、6年ほどの付き合いとなっていた。

一方のご近所のAは、急なパンクなどの対応はお願いしていたけれど、店の人の対応に距離を感じることもあり、今後長い付き合いをしていくのであれば、少しくらい場所が遠くてもBが良いのではないか、と思っていた。

でも今回、縁づいたので、わたしも先入観をなくしてAと付き合っていこうと決めた。車の購入に関する手続きなどで、Aへ頻繁に足を運ぶことになった。営業担当の男性は堅苦しいイメージで言葉数も少なく、表情もあまり変わらない。ちょっと、苦手なタイプだった。

でも、何度か話すうちに、彼の態度が変わってきた。昨日は彼の奥さんや地区の話も出て、まるで別人かと思うほどに、笑顔で話をする。一体、何が起こったのだろう、と思った。

Aの社長さんも整備担当の方も、とても気さくに話ができる人ばかり。しまいには、苦手だった営業の方とも気持ちよく会話ができるようになり、「あぁ、ここに縁づいてよかった」、と心から思った。

よく、第一印象ですべてが決まる、ともいうけれど、わたしに限ってはそうでもない。むしろ、最初の印象があまりよくなかった人ほど、長い付き合いになっているケースが多いような気がする。

また、人との関係性は、自分の気持ちの状態によっても変わっていく。今回の件でも、苦手だった営業の方を信頼して付き合っていこう、と心に決めたことで、なにかが変わったのかもしれない。

人との関係は、いつからだってやり直すことができる。一度悪い印象を与えると、もちろん、回復には時間がかかることもあるけれど、「変えられる」と自分が信じてさえいれば、実際に目に見える世界は変わっていく。これは、人間関係以外のことについてもいえるだろう。

何事も、「信じることができるかどうか」なのだと思う。