見出し画像

【詩】ラブレター



君はいつも笑顔だけど、
その顔に、何枚皮膚が張り付いていて、
ちゃんと呼吸ができているのか、
外側と内側の君はちゃんと泣くことが出来て、
不器用な笑顔をしないで、
君が見えているものに、
歪みやズレはないのか、
濁った水中のような、眩暈と臭気に飲み込まれていないか、
いつだって君は一人で涙を流す。
近くにいたはずなのに、
それが実は手が届かないくらい遠くにいて、
まるで空気を掴むのと同じくらい、
取り返しがつかないところまで来ている、
君は食いしばってうずくまる。

何度も何度も繰り返して、
その度に抉られた傷はさらに深くなって、
消えない痕がたくさん出来ていく、
夢なら良かったのにと、
枕を逆さまにして、明かりをつけておけば、
くたくたな毛布に守られて安心して夜を過ごせたかもしれない。
見えなくて、触れないけれど、
無意識を支配する名前のないキミが、
少しずつ音を立てずに成長していたことを、
君は気づいていたんだと、あの日知った。

全部、全部、壊してしまえ。
二度と君が悲しまないように。

だけど、最後にもう一度名前を呼んで欲しかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?