IBM UX Designer 紹介 #3「ジョマ」
今回は(久しぶりに・・・)メンバー紹介をします。登場いただくのは、デザイナーのジョマさんです。インタビューは、同じくデザイナーの緒方が担当します!
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🐝 JOMA(常通雅代)のプロフィール 🐝
学生時代にフリーランスデザイナーを始めた後、外資系IT企業、出版社ブランド事業部、クリエイティブブティックでWEBディレクター&何でも作っちゃう系デザイナーとして働いてきた。
2021年よりIBMにてInnovation Designerに。主に保険業界や行政、通信事業のお客様を担当。映像などモーショングラフィックスを駆使してIBMのビジネスやソリューションの効果を可視化することで、将来像を想起してもらうなどの工夫を取り入れている。
2024年からは社会人学生としての道も歩み始め、アリゾナ州立大学の大学院UXコースに在籍中。
LinkedIn: Masayo Jotsu
Note: @jomachan
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🦀 取材担当:緒方 胤浩
ジョマさんと同じく、日本IBM Client Engineering にてUXデザインを担当。
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IBMのイベント、『TechXChange』でメタバースすごろく?
🦀緒方
それでは早速質問していきたいと思います!ジョマさん、よろしくお願いします。
ジョマ🐝 よろしくお願いしま〜す。
🦀緒方
ジョマさんは社内でのデザイン関連のコミュニティ活動にも積極的という印象なんですが、具体的にどんなことをされていますか?
🐝 ジョマ
そうですね〜、このnote発信などの活動をするUX Community運営や、日本IBMのデザイナーが一同に集まるDesigner ALL Hands運営、あとはテクノロジー事業本部が行っているD&I(Diversity & Inclusion)のイベント活動などをしています。
🦀緒方
D&Iの活動って、例えばどんなことをされたんですか?
🐝 ジョマ
去年だと、TechXChange(*1)でメタバースすごろくをしましたね。
🦀緒方
???少し詳しく教えてもらえますか笑
🐝 ジョマ
少し経緯をお話しすると、D&Iの活動で、2023年の初めにメンバー間で今年度の活動の方向性を検討するデザインシンキングを活かしたワークショップをしました。
その中で「D&Iの活動って、普段はカジュアルに話しづらいよね」ということが課題だと話をしていました。介護や育児、病気など、個人のパーソナルな事情は話づらいですからね…。
それを解消するアイデアの例として、NHKの「ねほりんぱほりん」みたいに顔を隠して、ある程度秘匿性を保つことで話しやすくなるのでは?など、顔を隠すことの効果の話になりました。
さらに、話しづらい話題を深掘りするのに人生すごろくが面白そうとか、メタバースも活用できると楽しそう!など多様な意見がありました。
年初に話したそんな話が巡り巡って、ある日D&Iのチームから「TechXChangeの枠があるので、ぜひD&Iの活動をテクノロジーを活用して実施してほしい」と頼まれました。
🦀緒方
そんなラフな感じで頼まれたんですね。
🐝 ジョマ
そうですね〜。皆で話し合った結果、『「Techキャリア✖️ライフイベント」1人で悩んでいませんか?〜共感から感じる未来への可能性〜』というイベントが出来上がりました。会場で人生のアレコレを深掘りできる人生すごろくをメタバース上で用意し、ご参加される方々に顔を隠してディスカッションして、自身のバイアスを変えたり異なる意見を聞いて共感する場として用意しました。
最初は現地とオンラインのハイブリッドで行えるメタバース仮面舞踏会的なものにしようと考えてたんですけど、環境的な制約があってオンライン参加自体が難しいということが分かり、別の形式を模索し、こうした形になりました。
最終的にはオンサイトでメタバースを体験するという企画になったのですが、完全オンラインと違い、「現地参加だと身バレしてしまい、秘匿性を保てないのでは…?」ということで、リアルでも仮面をかぶって頂くことになりました。
同日ログインするメタバース空間でも顔を隠すし、リアルな空間でも皆さん仮面をかぶるっている、そんな感じになりました。
🦀緒方
面白いですね〜。どれくらいの人たちが参加されてましたか?
🐝 ジョマ
実際は20名くらいの方に来てもらえました。参加募集時点では60名のご登録を超えていて、ちょっと焦りました。笑
当日はチームごとに分けて「人生すごろく」をメタバース&オンサイトで実施してもらったのですが、けっこう盛り上がっていて、立場や会社の垣根なくお話しされていたかと思います。やっぱり顔を隠すのは良かったなと思いました。突っ込んだ話題をディスカッションするのにとても役立った気がします。
🦀緒方
実際にはどんな様子だったんですか?
🐝 ジョマ
メタバース上でサイコロを振り、空間上で移動してもらい、すごろくで止まったマスに書かれたお題を、チームごとでリアル対面で話し合うという形式でした。(※イベントは現地参加のみ)
すごろくの内容で言うと、例えば、「子供は可愛いけど、仕事も頑張りたい。半年で復職したけど大変な毎日。産後うつや家族の協力について話し合ってみましょう。」とか、「アプリで出会った人と3ヶ月で子供を授かり、結婚もしました。・・・・」みたいなマスもありました。
なかなか普段触れにくいけれど、現実に起こりうるお題がたくさんあって。強制的にお話し頂くのが目的ではないので、ファシリテーターの方に各チームごとに入って頂き、心理的安全性が保証されるように事前に打ち合わせをした上で、平等に話しやすい環境をのケアをいただくよう雰囲気作りをお願いしました。ご参加者の皆様、また、当日応援に来てくれたIBMD&Iメンバー、デザイナーの皆様には大感謝です!
🦀緒方
参加者はいろんな人がいましたか?
🐝 ジョマ
年齢や役職もバラバラだったと思います。
社会人経験の長い方や、来年新入社員になる学生、他には、、、人事の方などもいました。
テックトピックの狭い部分だけを考えると、普段の生活と比べると話題の敷居が高い気がするんですよね。でも、そのハードルを足元まで下げた話題やトピックの提供をすることで、敷居を下げられたかな、と思っています。
🦀緒方
ソリューションを提供する場としてではなく、「日々の話をする場」をまず作ったという感じが良かったのかもしれませんね。
🐝 ジョマ
うんうん。そうかも〜。あ、余談なんですけど・・・「鬼灯の冷徹」って知ってますか?
🦀緒方
いや、知らなかったです笑
🐝 ジョマ
地獄の話の漫画(アニメもあり)なんですが、ほのぼの系なんで、ご飯食べながらよく読んでます。笑
地獄の裁判官の補佐官が主人公なんですが…。その漫画の中で、マイナーキャラではあるのですが、同じく別の地獄の補佐官でめちゃくちゃ技術屋のおじいちゃん(焙烙斎)が出てくるんです。で、その人、カラクリばっかり作ってるんですよ。その孫もテッキーな感じで、「めめこちゃん」っていうんですけど、機械いじりが大好きで、すごく才能溢れる女の子で。
そのめめこちゃんが活躍する…とある回で大人のテックオタクの鬼たちが、テック競争をするみたいなシーンがあって、、、例えば、技術がすごく好きな家電の販売員の方とかって、すごく機能のこととか、乾燥の速度が何秒とかを紹介したり、細かい技術について語りがちじゃないですか。それに近しい描写があって。
そんな風にこっちの機能があーだ、あっちの機能がこーだ、と言い争ってる時に、めめこちゃんが「忙しい主婦の人が求めてるのは、すごく凝った機能とかじゃなくて、ボタン押すだけで洗濯できるっていうシンプルなことなんだよ」みたいなことを言って、それに周りで争っていた鬼たちがハッとさせられて終わるんですよ。
🐝 ジョマ
そんな感じで、私たちが使う機能や技術は、その技術を極めるためにあるんじゃなくて、誰かの「ちょっと嬉しい何か」をがある未来を実現するためにあるんだよなっていうことに共感して。めめこちゃんから学びました。めめこちゃん、本当にすごい。
私たちデザイナーがやる仕事って、めめこちゃんが言っていることが本質だと思っています。
TechXChangeの敷居の高さを下げるっていう話で、めめこちゃんからの学びを思い出しました。
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*1:IBMが主催するイノベーションとテクノロジーをテーマとしたカンファレンス。業界リーダーによる基調講演、ワークショップ、展示が行われ、デジタル変革を加速するためのさまざまなベストプラクティス、ツール、リソースを紹介します。また、参加者同士のネットワーキングの機会もあり、お互いに知識を共有し、つながり、新しいアイデアを生み出す場となっています。
オンラインでアメリカの大学に通う?
🦀緒方
話は変わりまして・・・最近ジョマさんは大学院に通い始めたそうですが、きっかけとかはあるんですか?
🐝 ジョマ
そうですね〜。きっかけ?は、アメリカの大学に行ってる時に同じ英語のクラスで出会った友達が、ベトナムの大学を2個出た後にグローバル企業で働いて、アメリカの大学院に入った〜という女の子だったんですよね。彼女は大学院でMBAに近いことを学んでるみたいだったんですけど、当時、自分のように学位を2つ取るような人は周りにいなかったから、すごく勇気づけられたし、本当にかっこいいな〜と思いました。そして、彼女からも大学生活を通してずっと応援してもらいました。
私が大学を卒業した当時、2017年時点ではデザインの大学って、トラディショナルな分野(グラフィック、イラストレーション、ブランディングなど)の専攻はあったんですけど、今やりたいこととは何となく違うなと思っていました。当時見つけたアリゾナ州立大学にあるグラフィックインフォテクノロジーという学科は自分のアイディアに少し近かったんですけど、すでに受けたことのある授業内容がわりとあって、当時はなんかちょっと違うなーという感じで。例えば、色彩理論やデジタルイラストレーション、写真など、すでに取った授業と被ってたんですよね。
なので、その時は決断せずに、他の大学を調べることにして、卒業生に話を聞いたりもしました。色々みましたよ。パーソンズとか、MITとか、ファッション工科大学とかも視野に入れ有名どころも色々調べたのですが、自分の仕事の内容と今後の方向性を考えると、うまく当てはまらず、あまりマッチしませんでした。
他にも世界中の大学を調べました。試しにオーストラリアの大学に問い合わせたら、「あなたは今は学ばなくてもいいのでは?」とか、「オセアニアの案件ばかりになるけど大丈夫?」とか、「環境問題のテーマが多いよ」とか教えてもらったこともありました。
🐝 ジョマ
大学のある国の環境によって扱うテーマやデザインの方向性も変わるので、日本のように偏差値やランク重視ではなく、「自分が何をやりたいか」、がすごく重要になるかと思います。そうして、色々調べていた時に、あれよあれよとIBMに入ることになりました。
その後も引き続き調べてる時に、以前調べていたアリゾナ州立大学にデザインの学科とテクノロジーの学科がハイブリッドで作ったUXコースが出来ていたのを発見して、オンライン通学もできるということがわかったんですよ!
現地に行くとなると、円安も相まって暮らしにまつわるお金の問題、女性ならではの安全面の問題、抱えている難病を診てもらえる医療機関は近くにあるかなど、様々な制約がどうしてもあります。準備する時間もかかります。が、オンラインだと現在の環境で好きな時間に自分のタイミングで通えるので、生活面での準備期間が要りません。すぐ始められて良いなと思いました。
🐝 ジョマ
ちなみにこの大学は、オンライン教育が6年連続全米ナンバーワンだったり、UX分野でもトップユニバーシティに5年連続で選ばれてたりします。日本にいるとあまり馴染みがないかも知れませんが、エンジニアリングやUXデザインの分野で優れた大学のひとつです。
🦀緒方
すごいですね〜
🐝 ジョマ
そうですね。やっぱり自分の好奇心に合った部分が良いなと思って決断しました!そこから、社内の皆さんにも協力してもらって入学の申請をして、無事に合格できました。
🦀緒方
良かったです!おめでとうございます。ちなみにどんな授業のスタイルなんですか?
🐝 ジョマ
オンデマンドで録画が用意されてるのと、ディスカッション、ミニクイズとか、ペーパーテストもあるという構成になっています。自分がやりたかったら先生とZoomもできます。アメリカの大学は、学期末テストで一発合格とかはなく、それぞれの項目に点数が配分されていて、授業への貢献度(主にディスカッション)が重視されます。会話の比重が大きいので、自分から積極的にアイディアをシェアすることを大事にしています。
🦀緒方
どうやってディスカッションを進めるんですか?!
🐝 ジョマ
生徒が授業に対してのコメントをスレッドに書き込んでいるので、それに対してコメントしたり、「どういうこと?」みたいに質問を書き込んでリアクションするのをオンライン上で繰り返していきます。
🦀緒方
リアルタイムじゃなくてもできるっていのは面白いですね。
🐝 ジョマ
いろんな状況の人たちがいますしね。米国内でも時差がありますし。シングルマザーで子育て&お仕事中とか、もちろん私のように仕事をしながらの人もいたり。バイトしながらやっている学生の方もいます。私以外にも日本から参加しているアメリカ人の方もいて、本当に多様な感じです。米国のさまざまな場所はもちろん、イギリスに住んでいる方もいたり。
🦀緒方
さっき話してくれた仮面舞踏会的な話しやすさとかはありますか?
🐝 ジョマ
あるかもしれないです。
対面の授業だと、たとえば私の場合は学部の時は中西部の大学に行ってて、アジア人は珍しかったんですね。授業も私の専攻はアジア系はほぼいなくて、ほとんどが白人ばかりの環境で、正直なところ黒人差別も残るような街でした。米国の課題でもありますが。だからあまりオープンな雰囲気ではない時もありました。テレビで見るような過激な差別はありませんでしたし、私の周りは皆優しかったですが、やはり「昔このテレビ見たよね」とか、ローカル的な会話にはあまり参加できないし、何となく仲良いけど、何となくクラスメートと距離がある、みたいな感じはありました。特に普段は気にしていませんでしたが、独特な距離感はあったなーという印象です。とっつきにくかったのもあるかもしれませんが。笑
それで、卒業間近になってやっと色々踏み込んで話す機会があって、「君はそんなに面白かったんだ〜!」と気づいてもらえた、みたいなことがありました。
🐝 ジョマ
その時と比べて、オンライン上だと対面とは違って、時間やタイミング、雰囲気を気にせずどんどんこちらから話しかけやすいのがいい点かもしれないですね。
とにかく話しかけないと、授業の参加ポイントゼロになっちゃいますし。笑
ワクワク感とか熱量
🦀緒方
最後に、少し宣伝的な要素も含めてになりますが、Designer ALL Handsについても教えてください。
🐝 ジョマ
Designer ALL Handsは、日本IBMのデザイナーが全員集まる機会です。クオーターごとに開催して、クリエイティブ分野で活躍する社外の方をお呼びして、お話を聞くことで知見を得たり、ネットワーキングできたりするようなことも行っております。
昨年は、クリエイティブ業界で大活躍しているクリエイティブディレクターや、皆さんが一度は見たことがあるロゴの製作者、マーケティングの分野から専門家や、世界で活躍するデザイナーにドイツからご参加していただいたりしました。
みなさん、仕事に対してパッションを持った方々で、内容はもちろんのこと、クリエイティブに対する姿勢にも毎回刺激を受けています。
🐝 ジョマ
ちなみにTechXChangeの時もそうだったんですけど、エンジニアのメンバーがまだ正式にGOが出てない微妙なタイミングであるにも関わらず「メタバースすごろく作ってみました〜!」って持ってきてくれて、実際にサイコロを触れたり、空間がサイコロだらけになるとかも実装してくれていました。
その時も彼らの好奇心や行動力に突き動かされてグループ全体のモチベーションが高まりました。ワクワク感とか熱量がとても良かったな〜という思い出です。パッションて大事ですね。
🦀緒方
素晴らしいですね!
🦀緒方
今日はお話しいただきありがとうございました。
多方面で活躍するジョマさんに、テクノロジーと人々を結ぶ際の視点や大学でのオンライン授業の学び方などをお聞きしました。
今後のメンバー紹介の記事では、ジョマさんも関わっているALL Handsの運営を担当しているデザイナー組織のリーダー陣のお二人に登場していただく予定ですので、どうぞご期待ください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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※当アカウントで発信する情報は会社を代表してのコメントではありません。