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心理学から学ぶ “HSC”(ハイリー・センシティブ・チャイルド)

最近“HSP”繊細さん という言葉をよく聞くようになりましたね。

このHSP、、実は子供にもみられる特徴で“HSC”(ハイリー・センシティブ・チャイルド)とよばれています。

今日はこのHSC(繊細ちゃん)についてお話していきたいと思います。
あなたのお子様や周りの子供をイメージしながら読んで頂ければと思います。

■HSCとは

 HSC(Highly Sensitive Child)とは、アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン氏が提唱した言葉で、「人一倍敏感な子供」という意味です。

 アーロン氏はHSCのことを

「感覚や人の気持ちに敏感で傷つきやすい子供」

と定義しました。

 最近よく見かけるようになったHSPもアーロン氏の提唱した言葉で、その子供版と言い換えればピンとくる方もいるかもしれません。

 アーロン氏は、HSCには「DOES」と呼ばれる以下のような特徴があるといいます。これはHSCのほとんどすべての人が持っている側面で、個人の育ってきた環境などに左右されるものではありません。

D(プロセスの処理が深い:Depth of processing)
O(刺激を強く受けやすい:easily Overstimulated)
E(感情的な反応が強い:Emotional responsiveness)
S(微妙な刺激に対する共感と敏感さを持っている:empathy and sensitive to Subtle stimuli)

D(プロセスの処理が深い)
少しの情報から多くのことを察したり、周囲の空気を敏感に察知したりする能力のことです。先々のことまで考えを巡らせてしまうため、間違うことを恐れ慎重になりやすい傾向があります。

O(刺激を強く受けやすい)
受ける刺激がHSCでない人より強いです。暑さや寒さといった環境の変化に弱く、痛みも感じやすいです。音や臭い、肌触りなどにも敏感で、チクチクした肌触りの服などが苦手です。刺激が多いところではすぐに疲れてしまいます。

E(感情的な反応が強い)
ポジティブな感情、ネガティブな感情の両方に強く反応します。HSCの子供は、怒られているのが自分でなかったとしても、ほかの子が怒られているのを見て自分も怒られているように感じてしまいます。

S(微妙な刺激に対する共感と敏感さを持っている)
他人の機嫌の機微を察することができます。また、他人の髪型や周囲のちょっとした環境の変化などにも気付きます。


■HSCは生まれ持った才能

 HSCは医学的な概念ではなく、生まれつき持っている性質を表した言葉です。
病気や障害ではありませんし、診断名でもないため、医療機関でHSCと診断されることはありません。
人種や性別に関係なく5人に1人はHSCともいわれており、実は多くの人が持っている性質です。

 また、生まれつきのものですので「親の育て方が原因でHSCになる」というわけでもありません。保護者の方は「自分の育て方のせいでHSCになってしまったのかもしれない」と自分を責めないようにしましょう。HSCはあくまで性質にすぎませんので、「ネガティブなものではない」という点も重要です。


■HSCチェック23項目


①【すぐにビクッとする?】:突然声をかけられたり、人がふいに現れたりするとすぐに驚く

②【サプライズをしてあげてもあまり喜ぶことがない?】:喜ぶと思ってサプライズを仕掛けても反応が薄い

③【相手の気持ちをよく察する?】:親のちょっとした表情の変化を見て「悲しいの?」と心配する

④【年齢よりも大人っぽい言葉づかいをすることがある?】:教えたわけではないのに、大人びた言葉づかいをして周囲を驚かせる

⑤【においに敏感?】:いつもとは違うにおいがしたら、誰よりも敏感に察知する

⑥【ユーモアのセンスがある?】:ぼそっと発したひとことでまわりを笑わせる

⑦【優れた直感力をもっている?】:「○○な気がする」と言ったことはだいたい当たっている

⑧【興奮した日はなかなか寝つけない?】:遊園地や動物園に行った日や、入園式・入学式など多くの刺激を感じた日は寝つきが悪い

⑨【大きな変化に対応するのが苦手?】:引越しや転校など、周囲の環境ががらりと変わるような変化に慣れるのに時間がかかる

⑩【着ているものが濡れたり汚れたりすると着替えたがる?】:水遊びは好きだけど服が濡れるのはいや、砂遊びは好きだけど服が汚れるのはいや、など気にしやすい

⑪【四六時中質問をしてくる?】:ちょっとでも疑問に感じたことは質問しないと気がすまない

⑫【完璧主義のように見える?】:「もうそれくらいにしておけば?」と言っても、納得できるまでやろうとする
⑬【他人の痛みや苦しみによく気がつく?】:テレビを見たり本を読んだりしていても、登場人物が悲しんでいたら自分のことのように感じて泣いてしまう

⑭【静かでおとなしい遊びが好き?】:外で大勢の友だちと鬼ごっこするよりも、積み木遊びやおままごとで遊ぶのが好き
⑮【ハッとするような深い質問をしてくることがある?】:「死んだらどうなっちゃうの?」など深い質問をしてくる

⑯【痛みに敏感?】:ちょっと大げさなくらい痛がる傾向がある

⑰【騒がしい場所が苦手?】:人混みなどうるさくて雑然とした場所にいると機嫌が悪くなる

⑱【ほかの人が気づかないような微妙なことによく気づく?】:人の外見がちょっとだけ変わったり、いつも置いてある場所になかったりと、人が気づかない微妙な変化を見逃さない

⑲【安全かどうか確かめてから行動を起こす?】:高いところに登る前に友だちが登る様子をよく観察して、安全だとわかってから登る

⑳【自分の知らない人がいると実力を発揮できない?】:発表会などで知らない人がいると不安になり、いい結果が出せなくなる

㉑【子どものわりに物事を深く感じとっている?】:ほかの子どもが軽く聞き流すようなことをいつまでも覚えている

㉒【服のタグやチクチクする肌触りなどを嫌がる?】:肌触りの悪い生地の洋服を着せるとすぐに脱ぎたがる

㉓【叱るよりも優しく間違いを正したほうが理解してくれる?】:叱るといつまでも引きずり、優しく諭すとすぐにわかってくれる

質問は以上です。いくつの項目に当てはまりましたか?

 Yesの数が13、もしくはそれ以上だった場合、子どもはHSCである可能性が高いといわれています。
 もしくは、当てはまる項目が1つか2つくらいだとしても
「非常に強く当てはまる」
と感じた場合、HSCの可能性は高まります。 

※ただしこれは厳密な診断ではないので、あくまでも参考程度にとどめておきましょう。

■保護者ができること

 HSCの子供は、そうでない子供が簡単にできるようなことでもストレスを感じたり、深く考え込んだりしてしまいます。「ほかの子供と同じようにできない」と悩むのではなく、HSCの子供のペースに寄り添ってあげることが大切です。

・まずはHSCを知ることから始めよう
 もし、「自分の子供がHSCかもしれない」というときは、まずは保護者自身がHSCについて知ることが大切です。
 ただし、むやみに情報集めたり誰にでも相談したりするのではなく、HSCの専門家が発信している情報を選ぶなど、正確な情報を探しましょう。

 HSCに理解のない人は、アドバイスのつもりでHSCの子供や親を追い詰める言葉を投げかけてくることがあります。HSCは診断名ではありません。
 教員やカウンセラー、医療関係者であっても知識を持っていないことが少なくないため、相談する場合はその点を踏まえて相談しましょう。

 HSCを扱っているクリニックなどにアクセスする手段があれば、そちらに相談するという方法もあります。

・子供だけでなく親自身も気を付けたい「自己肯定感」
 HSCの子供は自己肯定感を持ちにくい傾向があります。
そのため、HSCの子供と関わる際には、いかに自己肯定を育んでいくかという点に気を付けなくてはいけません。

 しかし、HSCの子供に寄り添うことで、周囲から
「甘やかしすぎだ」
「躾がなっていない」
といった形で保護者が非難されることもあります。
 そのため、HSCの子供を育てていると保護者の自己肯定感も下がってしまっていることが珍しくありません。

 HSCの子供との関わり方で悩んでいる方は、子供の自己肯定感を育むよう意識すると同時に、自分自身の自己肯定感を回復することも心がけてみましょう。保護者の自己肯定感が回復することで、HSCの子供にも良い影響を与えます。

・敏感なぶん心身の疲れを溜めやすい。HSCの子供は休息が大切
 敏感な子供は疲れやすいため、しっかりと休ませてあげることも大切です。
 不快なことだけでなく、楽しいことでも刺激が多いとHSCの子供は疲れてしまいます。体の疲れはまだわかりやすいのですが、心の疲れは本人も自覚していないことがあるため注意が必要です。

 子供がHSCの場合、意識して休憩させてあげるようにしましょう。


■さいごに


 HSCでない子供にとっては苦もなくできることが、HSCの子供にとっては負担であることは珍しくありません。
 そのため、学校のような「全員で同じことをする場所」では、HSCの子供は自己肯定感が下がりやすいと言えます。

 もし、お子さんがHSCかもしれないと思ったら、HSCについて知ることから始めましょう。
 お子さんが不登校であるのなら、無理に登校させるのではなく、まずは休ませてあげることが大切です。
 お子さんに復学の意思があるのであれば、通信制高校など、お子さんのペースを尊重しやすい学校も選択肢に入れてあげるとよいかもしれません。

一番大切なのは学校に行かせるという世間体よりお子さん自身です。

 子供の内は親がしっかりと守ってあげなければいけません。子供のことをよく観察し、なにかおかしい所がないかそっと見守るようにしましょう。

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