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日本語は時間をこえて生き残る言語型タイムマシン

現代の私たちが1300年前の万葉集を読んで「なんとなく分かる」って実は、世界的に見るとスーパーレアなんです。言葉は時代とともに変化する。日々新しい表現が生まれ、古い言葉が忘れ去られていく。

けれど日本語は違う。

日本語は2000年以上の歴史を持ちながら、その根幹を変えずに生き続けてきた稀有な言語です。

それを実感できるのが、『万葉集』や『古事記』。現代語訳がなくても、私たちは1300年前の日本語を「なんとなく読める」。これは、世界的に見ても驚くべきことなんです。



1. 他の言語ではありえないこと

ほとんどの言語は1000年も経てば大きく変化し、昔の文章はそのままでは読めなくなります。

例えば…

英語 → シェイクスピア(約400年前)ですら難しく、1000年前の古英語は現代人にはほぼ読めない。
フランス語・ドイツ語 → 1000年前の文章は、文法や単語が大きく異なり、学ばなければ理解できない。
中国語 → 古典漢文は、現代中国語とは文法も発音も異なるため、一般の人は読めない。

一方、日本語はどうか?

『万葉集』の和歌:

📖 春過ぎて 夏来るらし 白妙の 衣干したり 天の香具山(持統天皇)

「春が過ぎて夏が来たらしい。真っ白な衣が干されている、天の香具山よ。」

これは、ほぼそのままの意味で理解できる。(どういうこと?という解釈は置いといて)


『古事記』の冒頭も同じです。

📖 天地(あめつち)の初発(はじめ)の時、高天原に成りし神の名は…

「天地が初めてできたとき、高天原に現れた神の名は…」

少し古めかしい言葉遣いではあるが、現代日本語と共通する部分が多い。
これは、日本語が1300年もの間、変わりながらも根幹を失わずに生き続けてきた証拠です。


2. なぜ日本語は生き延びたのか?

ひらがな・カタカナ・漢字の組み合わせによる柔軟性
「話し言葉」は変わっても「書き言葉」は比較的安定していた
和歌・俳句の文化が古い言葉を残し続けた
漢字の影響を受けながらも、日本独自の文法は変わらなかった

日本語は外来文化を取り入れながらも、独自の形を保つという驚異的な適応力を持っています。日本語が千年以上も生き続けた理由がこれ。


3. 幾度もの危機を乗り越えた日本語

歴史の観点から見ると、実は日本語は何度も「消えるかもしれない」危機に直面しています。

(1) 漢字との出会い(古代)

  • 3世紀ごろ、中国から漢字が伝わる。

  • もともと文字を持たなかった日本語は、漢字を「自分たちの言葉」として取り入れる。

  • 「万葉仮名」→「ひらがな・カタカナ」へと進化し、日本語独自の表記が確立。

➡ 外来の文字を受け入れつつ、日本語独自のスタイルを確立した。



(2) ポルトガル語・オランダ語の流入(戦国時代)

  • 16世紀、西洋との交流で「パン」「タバコ」「ボタン」などの外来語が入る。

  • もしキリスト教の布教がさらに進んでいたら、日本語はヨーロッパ語に飲み込まれていたかもしれない。

➡ しかし、江戸幕府の鎖国政策により、日本語の独自性は保たれた。

🧐戦国時代は内乱が勃発し、他国が侵略する&他国の言語文化を受け入れる隙間がなかったのも、ある意味で生き残る理由になった。日本語史としてはラッキー!


(3) 英語を公用語に?(明治時代)

  • 明治維新後、政府内で「日本語を捨てて英語を公用語にするべきでは?」という議論が持ち上がる。(当時は方言も強く、九州人と関東人が話通じないことも😅富国強兵!言語統一しようぜ!)

  • しかし、「言文一致運動」が起こり、日本語は近代化されながらも存続した。


🧐言文一致運動(げんぶんいっちうんどう)とは、「話し言葉(口語)」と「書き言葉(文語)」の違いをなくし、書き言葉を日常の話し言葉に近づけようとした運動のこと。

明治時代(19世紀後半)に始まり、それまでの古典的な文語体(例:「〜なりけり」)を、話し言葉に近い口語体(例:「〜だった」)に統一しようとした。

この運動により、現代の日本語の文章スタイル(小説・新聞・法律文など)が話し言葉に近い形になり、読み書きが簡単に。

📌 代表的な作家 → 二葉亭四迷(『浮雲』)、樋口一葉、夏目漱石 など

➡ ここでも、日本語は変化を受け入れながら生き延びた。



(4) GHQによる「ローマ字化計画」(戦後)

  • 戦後、GHQの一部で「日本語を廃止し、ローマ字表記にすべき」という案が出る。

  • 「いっそ公用語を英語に」「いやフランス語に」と議論が飛んだ💣🔥

  • GHQが読み書きの普及率を調査すると、世界的にもトップレベルで日本国民が言語力を身につけていることが発覚。

    (🇺🇸👨日本人頭いいじゃん…読み書きできるなら、変えなくていっか…)

  • 日本語の根強い文化的基盤もあり、実現しなかった。

➡ 日本語はまたしても危機を乗り越えた。


4. 現代の日本語は、変化と共存している

現代の日本語も、新たな変化を迎えている。

カタカナ語の氾濫(コンセンサス、サステナブル)
SNSによる新語(エモい、草、リアタイ)
若者言葉の進化(それな、マ?)

これらの変化を「言葉の乱れ」と見る人もいるが、これは日本語が持つ適応力の一つとも言える。

過去の歴史と同じように、日本語は必要なものを取り入れながら、根幹を維持し続けているのだ。


5. 未来へ——日本語は生き続けるのか?

日本語はこれまで、
漢字文化の流入
西洋語の影響
英語公用語化の危機
ローマ字化計画

など、幾度もの危機を乗り越えてきた。

しかし、そのたびに日本語は外来文化を消化し、自分のものにすることで生き延びてきた。

  • 和製漢語を作り、世界に逆輸出した(「経済」「哲学」→中国・韓国でも使用)

  • カタカナ語を取り入れつつ、日本語の文法は変わらなかった

  • SNS文化の中で、新たな表現を生み出している

この「変わりながら生き残る力」こそ、日本語の最大の強みです。


2000年の記憶を持つ言葉、日本語

日本語は決して不変の言語ではない。むしろ、変化を受け入れながら進化することで生き続けてきました。

1300年前の『万葉集』がなんとなく読めるように、1000年後の日本人も、私たちの言葉を「なんとなく」読んでいるかもしれません。そう思うと、エモくないですか?😁

日本語はタイムマシンならぬ、時間を超えて生き続ける言語なのです。




✒️ーーーー想いは駆けるーーーー🐎

文筆屋ことロップ代表
茨木彩菜〈ペンネームはアヤコ〉


幼少期から日記、エッセイ、小説を執筆する。大学卒業後は中学校国語教員を務め、出産をきっかけにwebライターに。多世代共生社会実現のため、介護職に従事。現在は文章コンサルタントとして、「自信を持って書ける人」を増やす活動に専念する。

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・webコンテンツの企画・執筆・代筆・添削
・HP文章の執筆、添削
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