【短歌一首】 唐突な寒き日暮れて川沿ひに煙なびけば母ぞ恋しき
いきなり寒くなった。
今年は夏の終わりから冬までが異常なくらい短く感じる。
夕方川沿いを歩いていると、もう12月半ばすぎのような寒い風が吹いてくる。
民家の屋上から紫色の煙が棚引いているのが見えた。子供の頃はどこの家にも小さな煙突や焼却炉のようなものがあり、晩秋から冬の季節になると焚き火のような匂いが漂ってくるのが常だった。風呂場にも煙突がついている家が多く、そこから上がる湯煙に秋の終わりや冬を感じていた。
最近ではいろいろな規制から民家から生活の煙が出ているのを見ることはほとんどないので、とても新鮮で懐かしい気持ちで煙を眺めていた。(何のための煙が、そもそも煙が出ていて良いのかなども考えつつ。)
小学校の頃、毎日のように外で友達と遊び、日の入りの早くなる11月や12月には、日没後の暗くなった路地や公園で、太陽の残照や灯り始めた街灯を頼りに、キャッチボールやサッカーをやっていた。この季節になるとそんなことを思い出す。そう言えば、冬でもみんなカサカサの足に半ズボンを履いていた。
10月の終わりが母の命日なので、毎年とりわけ晩秋から12月末までの夕焼けや夕闇を見ているとよく母を思い出す。
日没までくたくたに遊んだ後に、たくさんの家から出ている煙を見ながら、早く家に帰って晩御飯を食べないなとか、風呂に入りたいな、などと思いながら家路を急いでいた。本当に懐かしい。
猫間英介