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【短歌一首】 轟音の空に響けど姿なき飛行機すでに気流の彼方

轟音の
空に響けど
姿なき
飛行機すでに
気流の彼方

久しぶりに晴れて清々しい空。

夏風邪で体調を崩し床にいる時間が多くなると、普段はあまり意識していない音がよく聴こえてくる。

久しぶりの晴天

いつもは朝5時半ごろに目を覚まし、仕事に行く準備などその日のルーティンを淡々とこなしている。そのときは外界からの音をそれほど意識していない。 しかし、体調を崩しいつもなら起きて活動を始めている時間に布団の中でしばらくゴロゴロしていると、いろいろな音が聴こえてくる。遠くの音、近くの音、大きな音、小さな音、音と音の間の静寂などに対して神経が研ぎ澄まされてくる。

中でも、朝7時前から2時間ほどの間、これほどの頻度で来るのかと思うくらい、ひっきりなしに飛行機の轟音が届いてくる。空路も朝のラッシュ。

飛行機の音はすれども姿なし

あまりに飛行機の音が聴こえてくるので、床から出て飛行機を見てやろうとベランダからしばらく空を眺めていた。確かに、飛行機の音は2、3分に1、2回は聴こえてくる。 しかし、飛行機の姿がぜんぜん見当たらない。この青空のよほど高い高度を飛んでいるのか。

上空に白い点のような飛行機

よく目を凝らして見ていると、だんだん目のピントが遠方に合うようになってきた。普段、スマホやPC画面やテレビなどに侵略されている現代人はどんどん遠くが見えなくなってきている。遠くから獣が襲ってくる心配もなく視力はますます近視眼的になっている。もともと人間の目はある程度遠くを見る様にできているらしいが、現代人の目の使い方は真逆だ。

飛行機発見に努めているうちに遠くの物がよく見えてきたというのは、子供の時に仮性近視になり医者から遠くを見るように勧められ、夜の星や遠くの緑を見る訓練をして視力を回復させたトレーニングと同じか。今やすっかり近視になってしまった目のためにも飛行機発見トレーニングは有効かもしれない。

 飛行機発見

だんだん飛行機を早く見つけられる様になってきた。目のピント調節機能が向上したかな。

この飛行機は高度が低め

そして、飛行機の早期発見のために、もう一つ大事なことに気づいた。小学校の頃に習った音の速度だ。音の速度は毎秒約340メートル。そしてジェット機は音速を超えるマッハのスピードも出せる。

ということは、上空の高い高度から遠く離れたこちらの耳にジェット機のエンジン音が毎秒340メートルで降りてきて届けられる頃には、ジェット機の機体はすでにはるか遠くに移動している。子供でも分かっている原理原則、夏風邪のボワっとした頭ではスポッと忘れていた。飛行機見つけたけりゃ、音の方向を見るのではなく、音のずっとずっと先を見よ、ということだな。

飛行機にピントが合ってきた

夏風邪で寝込んでいても、飛行機の飛行頻度と音について新しい発見があり嬉しい。

そう言えば、心理カウンセリングでも「音と思考のマインドフルネス」というセラピーがあったな。心を落ち着かせて目をつぶり、日常生活で発生する音、大きな音、小さな音、遠くの音、近くの音、音と音の間の静寂などを一切の評価は加えずにひたすら聴いていくもの。そして音がどのように発生してどのように消えてゆくのかを感じ取る。五感の中で最も休んでいない器官である聴力に心を集中させることで、思考や感情に振り回されている心身を回復させていく効果がある。

さらに、近視眼的な現代人の視力回復のための「飛行機発見・追視セラピー」(勝手にネーミング)は効果絶大かもしれない。実際に、しばらく青空を見上げながら飛行機探しを繰り返していたら、目も頭も心もかなりスッキリと気分よくなってきた。

猫間英介




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