【短歌一首】 二の腕を撫でる海風白昼夢呼べば緘(かん)せしトラウマ開く
先日鎌倉の材木座海岸を訪れた。
このブログでも何回か書いたけれど、何十年ぶりかでゆっくり訪れた材木座海岸は、脳の海馬の底に「緘(かん)」とスタンプを押して封印したと思っていたものを、何の評価・検閲もなしに無慈悲に引き出してくる。
久しぶりの材木座海岸ということで朝から緊張していた。当日の用事はお昼過ぎからかだったが、18歳から20代の頃と同じように早起きして午前10時前に着いて、まず海岸をひとしきり散歩した。
昔立ち寄っていたカフェはもうよく覚えていないが、今でも材木座海岸沿いには素晴らしいカフェがたくさんある。
今は亡き55年間付き合いのあった一番の親友ともよく朝5時ごろに東京を出て、ほとんど人がまだいない湘南の浜辺や海で遊んでから、午前8時過ぎにはカフェで「ブリリアントな朝食」とかほざきながら、アメリカンスタイルの2エッグス・ウィズ・ベーコン、卵はスクランブルでとか注文してたな。
海岸を散歩した後にコーヒーを飲もうとカフェに入った。他には誰もお客さんはおらず、外の見晴らしの良い席に座ってコーヒーを注文。
コーヒーを注文したお店の名前を後から調べてみた。多分、この材木座テラスというビルにある「GOOD MORNING ZAIMOKZA」というお店。
目の前が材木座海岸という素晴らしい眺めの中で、海風を受けながら朝から一人でコーヒー飲めるとはいい時間。調子に乗ってビールかワインでも飲みたくなってしまうが、昼に重要なアポイントがあるので我慢。
そうこうするうちに昼が近くなってきて、お腹が空いてきたので、とりあえず店を出て食事に出かけた。
どこで食事をしようか材木座海岸付近を散策するも、海岸沿い以外は閑静な住宅街なので適当なお店も見つからず、また海岸沿い戻って見つけたお店に入った。
最初は外の席にいたのだが、すでに日差しは夏でも海風をずっと浴びていると体が冷えてきたので、室内の席に移動した。室内からの眺めも素晴らしい。どんどん空腹感が増してくる。でも昼過ぎから重要な用事があるので、食べ過ぎとアルコールは厳禁。
唐揚げランチプレートは、サクッと揚がった唐揚げとライス、サラダが良くマッチしたヘルシーなランチ。スープも付いて美味しかった。白ワインやビールを一緒にと行きたいところだが、まだ用事前。ここも忍の一字。
このお店は、「材木座Cafe75th(セブンフィフス)」。
午後3時過ぎに用事が終わった。とてもいいミーティングだったので充実感があり、その勢いに駆られてもう少し材木座海岸でゆっくりしようと決めて三軒目。 一軒目のカフェと同じ材木座テラスビルの同じ階にある。材木座海岸がどんだけ好きなんだろう。
このお店は、「ZAIMOKUZA SEASONS」
酒に弱くてすぐ眠くなってしまうので、グラスの白ワインを一杯だけ頼んで、ちびちび飲みながら小1時間。充実したミーティングの余韻と、ほどよい暑さと心地良い海風に少しずつ酔いが回ってくる。やたらと18歳から20代前半の湘南に憧れていた頃の記憶が自動スイッチが入ったかのように次から次へと出てくる。いい思い出もあるが、恋人や友人の喪失というトラウマもある。過去と現在がごちゃごちゃになり、どうにも眠くなってくる。 白昼夢でも見ているのか。
学生時代にカッコつけで友達とサーフィンやりに来たことがあったが、材木座海岸にいると60代、70代、中には80代と思しき人たちがウエットスーツを着てサーフィンをやっている。サーフィンは一生続ける楽しみであり、日常生活の中での重要なルーティンなのだろう。男性も女性もカッコいい。彼らがたまにウエットスーツでサーフボードを抱えてカフェで休憩している。いいなこの光景。
恐るべし材木座海岸。三軒もカフェはしご。素晴らし過ぎて全く離れること能わず。参った。このままサンセットまで見ていたい気分。
材木座海岸にどっぷり浸かっているうちに、脳の記憶回路のタガが外れて本当にいろいろなことを思い出させられた。まるで精神分析の創始者であるフロイトのいう「心の局所論」の、無意識(抑圧されていて意識化できにくい心の部分)のフタが開けられたみたいに。
猫間英介
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