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【短歌一首】 けたたましき輪唱するも姿なく木々に残るは空蝉の術

けたたましき
輪唱するも
姿なく
木々に残るは
空蝉の術

朝早くから公園の木々の蝉の声がうるさい。
むしろ日中の暑さがピークの時間帯よりも、少し涼しい朝や午前中の早い時間帯によく鳴いている。

川沿いの公園
蝉の楽園

蝉の声のシャワーを浴びながら朝の公園を散歩する。どの木も蝉の声の束を抱えているよう。あらゆる木々から蝉の声が拡散されている。けたたましい。

公園の木々

これだけ蝉が鳴いているのだから、蝉の姿を簡単に見つけることができるだろうと木々を注意深く見上げながら歩く。

大きな木は蝉の声の集合体

いろいろな木々の幹や枝を観察するが、蝉の姿は一向に見つからない。かなりしつこく念入りに見るが、やはり肉眼で蝉を見つけることができない。観光地の鳥の声みたいにどっかにスピーカがあって録音した蝉の声を流してるんじゃね。

蝉本体は見当たらず、発見するのは蝉の抜け殻ばかり。

蝉の抜け殻

本体を見せず抜け殻のみ残すとは、忍者が自分の姿を消して別の物を残していく「うつせみの術」。完全に蝉の術中に落ちている。うるさい蝉の声ですでに幻惑されているのかも。

ベンチの隙間の蝉の抜け殻

蝉の抜け殻のことを「空蝉(うつせみ)」と呼ぶが、これは「現人(うつせみ)」がもともとあった言葉で、「空蝉」は当て字らしい。 どこか大自然と人間界の「諸行無常」や「虚無感」を感じさせる言葉でとても魅力的だ。

【現人(うつせみ)】
①この世に現存する人間。生存している人間。
②この世。現世。また、世間の人。世人。

【空蝉(うつせみ)】
現人に「空蝉」の字を当てた結果、平安時代以降にできた語。
①蝉の抜けがら
②転じて、蝉。
③魂がぬけた虚脱状態の身。
④源氏物語の巻名。また、その女主人公の名。

広辞苑

ということは、現人=空蝉 → 人間=蝉の抜けがら、または蝉? そして空蝉は魂が抜けた虚脱状態。
そして蝉の術中にハマってしまった自分も虚脱状態。

アブラゼミ発見

そうこうするうちに、ついに蝉本体を一匹発見。「空蝉の術敗れたり、その術はすでに見切ったぜ」と言いたいところだが、その後も本体は全く発見できす。

アブラゼミ一匹

蝉との格闘で朝っぱらからどっと汗をかいてしまった。
しばらく蝉の声の周波が耳の底の方にこびりついて、蝉の声がしないところでも空耳が起こる。 蝉の声の聴き過ぎも耳に悪いかもしれない。

猫間英介


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