高校世界史の一歩先へ
次に紹介する本は皆、私が大学時代に読んだものです。
しかしながら高校生でも理解可能であり、世界史学習の一助になると考えます。
ラス・カサス『インディアスの破壊に関する簡潔な報告』(岩波文庫)
教科書でお馴染みの宣教師による報告書。'新大陸'侵略の異常さを知ることができます。同時に、アフリカからの黒人奴隷導入を支持していたり、プロテスタントを目の敵にしていたりと、人間ラス・カサスの精神的限界も見ておくべきでしょう。
ロバート・ダーントン『猫の大虐殺』(岩波書店)
私が読んだのは「労働者の叛乱」だけですが、現代歴史学の一代潮流である社会史の雰囲気を掴むことができます。無名の人々を追うのと有名な人々を追うのと、どちらが好みか考えてみるのも良いでしょう。
小田中直樹『歴史学ってなんだ?』(PHP新書)
歴史学の新たな可能性を開き、かつ歴史学のマニアック化を生んだ社会史の功罪などを扱っています。歴史学自体が批判にさらされる現代において、それでも'厳密な学としての歴史学'を信じる著者の情熱をご堪能ください。
テストの点数には直結しないかもしれませんが、日々の世界史学習が違った重みを帯びてくることでしょう。