コロナ言語学

新型コロナウイルスの流行は、新たな表現を生み出した。

「コロナで」とか「コロナだから」といった具合に、「コロナ」という名詞が形容動詞的に使われるようになったのだ。

また、「密になる」も一種の新語である。

そして、「コロナ禍」という複合語も、いつしか定着している。

ただし筆者は「コロナ禍」と呼ぶのは好きではない。

「黄禍論」を思い出すからだ。

しかし、なぜ「禍」という接尾辞が、コロナに結びつきやすいのか?

どうやら、もともと「疫病禍」なる表現があるせいらしい。

疫病による禍(わざわい)は「疫病禍」であるから、コロナによる禍は「コロナ禍」というわけだ。

他にも「筆禍」や「舌禍」といった単語がある。

「スペイン風邪」(1918-1920)の頃、日本では森戸事件(1920)と呼ばれる筆禍事件が起きた。

昨今の日本学術会議の件も、いわば筆禍事件である。

人為的/自然的の区別なく「禍」と一括りにするのはどうなのかとも思うが、コロナも自然破壊が関係していると聞くので峻別はできまい。

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