家庭教師が出てくる作品

作品における家庭教師は、民俗学的に言えば「まれびと(客人)」のようなマージナルな存在であり、興味深い。

今回は、三つ紹介しよう。

 

森田芳光の『家族ゲーム』(1983)では、松田優作が家庭教師役を演じている。
そのトリックスター的な行動が痛快だ。

FOR BEGINNERシリーズの『フーコー』(現代書館)は哲学者ミシェル・フーコーの伝記で、彼の浪人時代の家庭教師としてヘーゲル研究者ジャン・イポリットが登場する。
フーコーはニーチェ好きで知られるが、ニーチェが批判したヘーゲルを専門とする人に教わっていたとは面白い。そう考えると、フーコーの'主体'批判は、ヘーゲルの'主人と奴隷の弁証法'に通ずるものがある。
おそらくイポリットのおかげもあって、前年度は次点(101位)で落第した高等師範学校にフーコーは4位の成績で合格する。

ジッドの『田園交響楽』(1919)は、家庭教師というより、盲目の少女の生活全般を妻子ある牧師が監督するストーリーだ。
危うくも儚い物語であると同時に、人間が公私混同に陥ることの不可避性と愚かしさが伝わってくる。

 

ちなみに私は家庭教師を雇ったことはないし、やったこともない。

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