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#88 百鬼堂農園(29) 鍋具材農家への道
朝ドラ「虎に翼」は大団円に向かっている。このドラマを巡っては、放送終了後に同僚何人かと飲み会を開くことにしている。それに先だって、奥さんとの飲み会をやる。楽しみである。
ようやく涼しくなった。先週末はまだ暑く、畑仕事に夢中になっているうちにちょっと熱中症気味になってしまった。作業中に耐えられなくなり、近くの公園の日陰に2度避難し、水筒の水を飲み干し、頭から水道の水を浴びた。後の体調不良の一因になったのではないかと反省している。
農園仲間と久しぶりに会う。涼しくなってやっと落ち着いて畑仕事ができる、とそろって口にしている。今夏の作物の出来や、秋冬の作柄はどうするかなど、話は尽きない。南東さんからは、種類が違う大根の種をもらった。ビタミン青首なんとか、みたいな品種だそう。
2日ほどかけて、石灰と肥料を畑にすき込む。雨で湿った地面の奥深くを掘り起こし、陽にあてて、目を覚ましてあげるような感覚。畝をたて、園芸用の小さなスコップで一列に穴を穿ち、数粒ずつ大根の種をまく。
一度にすべての種をまかず、何日かあけて、ずらして種をまくといい、との南東さんのアドバイスもあり、3回くらいに分けてまいた。種は自分で買ったものと南東さんにもらったものがあったため、まいてみたらかなりの量になった。わが農園は、およそ5メートルの畝が8本あるが、うち5本が大根の畝になってしまった。大根と同じ畝に、試供品でもらった小松菜の種もまいた。
最初に種をまいて4日後、早くもかわいい芽が顔を出していた。面倒なのでマルチも防虫ネットもしてないけど、うまくいくだろうか。捕らぬ狸のなんとやら、ではあるが、すべての大根が育ったら大変な収穫量になるのではないか。別の畝からも順調に芽が出たら、なんとなく苦手な間引き作業をしなければならない日は、そう遠くなさそうだ。
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このネギたちの姿をみてほしい。風が吹くたびに倒れて、貧弱な細ネギ野郎とバカにされていたあのヒョロガリくんが、ブルワーカーで鍛え上げたかのごとく、たくましく太く育ちつつある。鍋の季節へ期待は高まるばかりである。ネギをもう一列、植えとけばよかったなあ。ハクサイはまだ間に合うのだろうか。間に合うなら畝を立てなければ。どうしよう。