純文学は感性の栄養補給
魔女宅の世界にお邪魔してみた
ウルスラ「魔法ってさ、呪文を唱えるんじゃないんだね」
キキ「うん。血で飛ぶんだって」
ウルスラ「魔女の血か・・・。いいね。私、そういうの好きよ。魔女の血、絵描きの血、パン職人の血。神様か誰かがくれた力なんだよね。おかげで苦労もするけどさ」
メイタロウ「そっか。きっと作家も、血で書くんだね。身と心を削りながら」
キキ「ま〜たメイタロウのネガティブトークはじまった〜。すぐ暗い話に持っていこうとするんだから〜」
ウルスラ「ワッハッハッハッハッハ!みんな笑ってみな!暗いのは逃げちゃうから!」
キキ「ワッハッハッハッハッハ!」
メイタロウ「メイ、暗くないし!!!」
ウルキキ「ワッハッハッハッハッハ!」
メイタロウ「メイ暗くないし!!!」
【君に届かない】が届いたッ!
ガラっと変わって、最近読んだ小説の感想を少々。
以前の記事でご紹介した、緒真坂先生の「君に届かない」が届きました。
ビジネス書ばかり読んでいて、危うく
『無意識にろくろをクルクル回してしまう』(出典:俺ガイル)
くらいに意識高い系になってしまっていた。
『純文学』を読んだのは、久しぶりだ。
1話目の「小説屋 平賀円内」は、とにかく文章が綺麗。
最近は言葉遊びを伏線伏線とコネクリ回す作品が多く、読んでいて頭の中に疑問符がポンポン出てきて、文字を追うのを阻害する。(それにはまた別の楽しみ方があります。)
極端な言い方をすれば、
「文章を読んでいて、スッと描写が頭に浮かぶが、内容は残らない。」
食べ物に例えるなら、
『凄く美味しかった。けど、今オレ、何食べた?美味かったことしか思い出せない。』
という感覚。
読んでいてストレスを感じない読書は久しぶりで、そして新鮮だった。
noteという悪魔に魂を売っているからだ
2話目の『汁』という小説がエモかった。
なので、小説の世界を泳いでみた。
「エモい」とは「エモーショナルな感じがする」ということであり、「感情に訴えかけて来るものがある」「心が動かされるようだ」「情緒を感じる」「趣がある」「グッとくる」というような説明しがたい感慨を述べる表現である。 「エモい」は英語の emotional(エモーショナル)に由来する省略表現である。(出典:weblio)
Q「だから、書く。身を焼かれても書く。書かざるを得ない。それが、小説家というものだろう。」
Q「ちがうのか?」
Z「いえ、違います。私は小説家ではなく『アマチュアnote家』なので、単に無邪気なクラッカーに踊らされているだけです🎉🎉🎉」
Q「noteとな!こりゃ一本取られたわいwww」
呵々と大笑するQ和尚であった。
あまりにも衝撃的な人のサガ
出生の秘密など、わざわざ世に出すことはない。
しかも、『真相はもはや霧の中』である。
だが、主人公の五体に流れ通う『血』が、書かせたのだろう。
『宿命ってやつが燃えて暴れ出しただけなんだ〜』(ヒゲダン)
切ない気持ちが駆け巡り、衝動的な心が騒ぎ出した。
小説の内容に惹きつけられ、危うく3日くらい仕事が手につかなくなるところだった。
何より、嵐が去った後の、静寂に包まれた主人公の心に、想いを巡らせた。
感情移入しすぎて、うっかり暗い気持ちを抱きそうになったが、さっきウルスラとキキが暗いのを追っ払ってくれたので、つとめて明るい受け止め方をしよう。
そうだ。真相不明だからこそ『想像力』を掻き立てる魔力があるッ!
何もわざわざ、好き好んで、暗い想像を働かせることはないのだ。
どうせ真相が分からないのだから、無理やり綺麗な物語にしてしまえばいい。
『汁』は『フランス文学』もしくは『世紀末救世主伝説』ということにしよう。
『愛ですべて許される』
『愛していたのだから仕方がない』
3人はずっと三角関係だったが、世間がそれを許さなかった。
時代が時代なら、世界の命運を背負いながら殴り合いをしないといけないのだが、世紀末じゃなかったからよかったよ。
弟は、二人を愛する故に、時にダラシのない夫を演じ、そして遂に身を引いてしまった。
だが、その弟の想いに罪悪感を感じ、残された二人もまた、離れて暮らすことを選んでしまうのだ。
弟を差し置いて、自分たちだけ幸せになんてなれない。
目の前から去ることで届けられる愛。
離れても、文芸同人誌を通して届けられる愛。
素人ながら同人誌に連なった4人の友人達も、粋でイナセな江戸っ子達だ。
Qさんなんて、小説書けないから仕方なく日記書いてたんだね。
そして、生き残った最愛の息子だけが、心の拠り所となった。
もしも何か後ろめたい思いがあったのなら、母は「汁」をすべて処分してしまっただろう。
文筆を志す我が子は、3人とその友が紡ぎだした愛の物語の、行間を読み取ってくれるに違いない。
私たち、ちょっと時代の先を行っちゃってたみたいなのよ。
ちょっとオトナな話だけど、分かるかな~?
私たちの愛を、あなたに届けたい。だから全部残すの。
なんて書き殴ってみたが、真相を『汁』術はないから、知るもんか。
妄想を駆り立てられる素敵な作品に出会い、『楽しかった!』と脳ミソが喜んでいます。