【開催レポ】鳳凰高校×九州大学 旨魚!南さつま 深海魚大解剖
12月26日木曜日に九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センターとコラボした「鳳凰高校×九州大学 旨魚!南さつま 深海魚大解剖 ~深海魚で学び,深海魚の味を楽しもう!~」を開催しました。
鳳凰高等学校サイエンスクラブでは,2021年度から南さつま市と連携して,南さつま市で水揚げされる深海魚のブランディングに取り組んでいます。
これまで地元小学校や中学校での出前授業を通じて,南さつま市の海の豊かさやそこで水揚げされる水産資源である深海魚の魅力について発信をしてきました。
今回のイベントではこれまでの取り組みと合わせて,今年度新たに取り組んできた深海魚の解剖教材としての魅力についても参加者の方に知ってもらう機会としました。
開催概要
参加者への事前アンケート
イベント参加にあたり,参加者にはアンケートに協力してもらいました。
「南さつま市で深海魚が水揚げされることを知っていましたか?」という質問に対して,7割の方は知っていると回答しています。一方で3割の方は知らなかったと回答をしています。
また,「これまで学校の授業やイベントなどで生物の解剖をしたことがありますか?」という質問に対しては9割の方がしたことがないと回答。私も小中学校の記憶を思い起こすと,確かに理科の授業で解剖はしたことがありませんでした。ちゃんとした統計をとったわけではないですが,このアンケート結果から解剖が授業で取り扱われてなくなっていることが推察されます。
「南さつま市の深海魚を食べたことはありますか?」という質問は半分が食べたことがあるという回答をしています。しかし,行政の担当者に話を聞くと「市内小中学校では給食に深海魚を出しているので南さつま市の子どもはみんな食べているはずだ」ということです。
ということは「食べたことある」の回答が100%になるのが理想です。
深海魚が給食に出た時にたまたま学校をお休みしていたとも考えられますが,人間は忘れる生き物なので,一度給食で出て説明を受けたとしても,いつの間にかそのことを忘れてしまったのかもしれません。継続は力なり。
イベント内容
それではイベントをご紹介します!
第1部 深海魚の解剖に挑戦してみよう!
今年度,サイエンスクラブでは南さつま市で水揚げされる深海魚を地域特有の「学びのツール」として活用できるように探究を進めてきました。
現在,南さつま市では「食」の切り口で利活用が進んでいますが,深海魚としての魅力は食だけではありません。
他の地域では滅多に水揚げされない珍しい深海魚も数多くおり,子どもたちの科学的な好奇心を育む貴重な資源だと考えています。
そこで今回制作したものが解剖教材にもなる深海魚の下敷き。
「持っているだけでかっこいい」「解剖をもっと身近に」というコンセプトで半年かけて制作しました。
解剖を始めるにあたり、サイエンスクラブの生徒から、深海魚の概要や、南さつま市やサイエンスクラブが取り組んできた利用促進への取り組みを紹介しました。
ゲスト講師である九州大学清野先生は体調不良のため急遽オンラインでの参加となりましたが,カメラを通じて一緒に楽しんでいただきました。
解剖の大まかな説明の後,参加者は配布された深海魚の解剖図が載ったオリジナル下敷きを手にして解剖にチャレンジしました。
中には胃袋の中に残留している未消化の生き物を見つけて人だかりができる場面もありました。
会場には野間池漁業協同組合の協力の下、ノコギリザメやミドリフサアンコウ、ヒレタカフジクジラ、カゴシマニギス、メンダコなど、前日に水揚げされた20種類以上の深海魚が並び、参加者たちは普段目にする魚とは異なった深海魚の体のつくりに興味深く観察をしていました。
第2部 深海魚の調理に挑戦してみよう!
解剖の後は,南さつま市でよく水揚げされる深海魚の一つであるアカカサゴを使った唐揚げあんかけを参加者みんなで作りました。
ゲスト講師である西海晴さんは鳳凰高校の卒業生であり,鹿児島大学水産学部に在籍しながら「#3か月後に鮨屋を開く大学生」のハッシュタグで発信を続け,念願の魚料理店をオープンさせた経歴を持ちます。
参加者は解剖を通じて魚の体の構造を知った上で,キッチンバサミを使ったアカカサゴの捌き方に挑戦しました。
普段,魚を捌いたことのない子どもたちでしたが解剖の後ということもあり,上手にアカカサゴを捌いていきます。
捌いた後は油で揚げて,特製あんかけをのせたら完成です。
料理を食べる参加者たちは「美味しい。美味しい。」と顔を見合わせながら満足そうな表情で料理を食べていただきました。
西海晴さんにはこれまでの活動についてもお話いただき,参加者はうなずきながらその話に耳を傾けていました。
番外編 3Dスキャンした南さつま市の深海魚たち
サイエンスクラブは笹川平和財団『海洋教育パイオニアスクールプログラム』の一環として,XR技術の活用にも力を入れています。
会場の一角にXRコーナーを設け,バーチャルに映し出される深海魚のモデルを観察できるVRヘッドセット(Meta Quest3)を設置しました。
深海魚の3DモデルはScaniverseというスマホアプリで作成しました。
参加した小学生たちは興味津々に最先端の技術を体験していました。(13歳以下の方は保護者の承諾の下、ヘッドセットを使用しています。)
まとめ
九州大学うみつなぎプロジェクトとコラボして深海魚の解剖と調理に挑戦するイベントを開催しました。
参加者の事後アンケートでは
「解剖は初めてだったけど下敷きを見ながらできたので楽しかった」
「また解剖にチャレンジしてみたい」
「深海魚美味しかった!」
という意見をいただくことができました。
参加者の様子や意見などを参考に今後さらに南さつま市の深海魚を知ってもらえるような活動を行っていきたいと考えています!
【報道】地元新聞社に取り上げてもらいました!
【資料①】事後アンケート 解剖編
参加者には各項目に対して1~5の数値で回答してもらった。5に近ければ近いほど活動に満足していることを示している。以下の図はアンケートの回答結果を集計し,どの数値をどれくらいの人数の参加者が回答しているかを示している。(【資料②も同様】)