深乃ふか

頭の中に住んでいる人たちの物語を表に出したい。生み出した責任。自分が読みたいストーリー…

深乃ふか

頭の中に住んでいる人たちの物語を表に出したい。生み出した責任。自分が読みたいストーリーが書けたら最高。

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  • 碧と海

    連載小説「碧と海」のまとめ 高校3年生の海斗はアレが出来ない。ゲイだと偽ってレズの桂木に恋人のフリをしてもらうなど、いろいろこじらせている。自分の空白の記憶を探しにやって来た伊豆で出会ったのは、海辺のペンションで働く美少年の碧。母親の為に体を売る碧を、海斗は救いたいと思う。 ひと夏の忘れられない青春物語。

最近の記事

日本の夫婦に致命的に足りないこと https://limo.media/articles/-/10331

    • ガール ミーツ ガール【連載小説】

      初めて女の子に恋しました 04 考えるな、感じろ。  そして認めろ。  私は“恋に落ちた”のだ。  なんども違うと思い込もうとしたけれど、  まさか、私が、同性の女の子をスキになるなんて。  というか、いいの?  この恋は貫いてもいいの?  鳴海さんを好きだと確信してからは、よりいっそう好きという気持ちが強くなった。  一緒にネイルサロンに行ってから、鳴海さんとの仲も近くなって、連絡先も交換した。  相変わらず私は外回りが多くて、店に入る鳴海さんとはあまり一緒に

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        初めて女の子に恋しました 03  次の日も、次の日も、気がつくと成海さんを目で追っていた。  朝、気だるそうに掃除をする成海さん。  お客様が来るとそっと隠れて接客を回避しようとする成海さん。  お客様がイケメンだと積極的に声をかける成海さん。  立っているのが疲れてしゃがみこむ成海さん。  休憩時間を取りすぎて赤星くんに注意される成海さん。  怒られてもケロリとしている心が強そうな成海さん。  ランチの後、立ったままウトウトしている成海さん。  バックヤー

        • びっくりするくらい、唐突に、突然に、すっぱりと、すっぽりと、文章を書くことに興味が湧かなくなってしまった。いや、正確に言うと創作意欲が別の方向に向かっていて、すべてのやる気がとある造形方面に集中してしまっていたのだ。今また気持ちが散漫してきたので何か書きたい気持ちになってる、俺様

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        • 碧と海
          44本

        記事

          ガール ミーツ ガール【連載小説】

          初めて女の子に恋しました 02「はじめまして。成海麻里といいます。前の職場では“なるみん”とか“まりりん”とか呼ばれていました。みなさんも気軽に呼んでください。よろしくお願いします」 「キャバクラの挨拶かよ」 と、黒赤星くんが私の耳元でボソッとつぶやいたけど、頭に入ってこなかった。何故なら、”なるみん”に目が釘付けになってしまったから。  緊張気味に挨拶をした“なるみん”は、光の粒をまとっているかのようにきらめいて見えた。  フェミニンなふわりとしたデザインの服に明るめの髪色

          ガール ミーツ ガール【連載小説】

          ガール ミーツ ガール 【連載小説】

          初めて女の子に恋しました 01「あぁ、やっぱり止めときゃよかった。3話ぐらいで止めればよかったのに、結局全話観てしまった…」  その時、私は猛烈な後悔と寝不足で何を着たかもわからない状態で店についた。店とはインテリアショップ「Wind and forest」。私の職場だ。 「おはようございます、鈴野さん」  スタッフルームを出ると後輩の赤星くんが声をかけてきた。うん、いつものように清潔感があってさわやかだ。シャツの一番上のボタンまできちっととめていて、まじめっぽくて可愛いいと

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          中学聖日記をリアルに検証してみる【短編小説】

          「スマホ買ったんだけど、あたし全然分からないから、吉田ちゃん代わりにインスタ入れてくれない?」 「ついにガラケー壊れましたか?」 「違う違う、インスタで岡田健史垢作るの」 「アカとかよく知ってましたね。いいですよ」 「帰る前にごめんねー」 「いいですよ、別に。つうか、もう終わっちゃいますね、中学聖日記」 「観てる? 吉田ちゃんも」 「観てますよ、毎日」 「毎日! 吉田ちゃんもやばいね」 「やばいですよ」 「でもさ、吉田ちゃん中学生の息子いるじゃん。拒否反応とかないの?」 「い

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          POP VIRUS を聴きながら【小説】

          「聴いた? 星野源の新曲」 「MV観たよ」 「やばくない?」 「めちゃめちゃかっこいいよな」 「POP っていうからもっとポップなの想像してた。いつもそうだけど、想像を超えてくるよね」 「俺さ、VIRUS ってビールスって読んでた。でもさ、風邪のビールスとかウイルスをビールスって言う医者いない?」 「ラジオをレイディオって言う感じ?」 「そもそも英語をさ、日本語に……。ブルース・ウィリスさ、俺ブルース・ウイルスだと思ってたんだ」 「誰?」 「知らねぇの? ダイハードの」 「そ

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          想像とか妄想する自由と権利はある、と言い訳させてもらって。最近、岡田健史さんと吉沢亮さんで『碧と海』を脳内で映像化するのが楽しいです。海に潜る2人の姿は最高に美しい。https://note.mu/hukanohuka/m/ma18e8c64d205

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          【短編小説】 いけないことがしたい、夜。

           鍵を拾った。  失恋したその日に。  失恋とか言って、ただちょっと俺に気があるのかなって思ってた女子が他の男と手を繋いでいる所を目撃しただけだ。  そんなに大したことじゃない。  ぼんやりと駅の改札を出て、LED照明で飾られた駅前の商店街を眺める。  まだ5時半なのに、もう夜だ。  長い夜の始まりだ。  そんな風にぼんやりしながら歩いていたら何かを踏んだ。  鍵。  俺は鍵を拾った。  ゴツゴツとした鍵には、赤いテディベアのマスコットがついていた。  そこら辺に捨てて帰るか

          【短編小説】 いけないことがしたい、夜。

          アレのない青春譚『碧と海』マガジンにまとめました。 似たような傷を持った高校生の海斗と一つ上の碧。2人のひと夏の話。 https://note.mu/hukanohuka/m/ma18e8c64d205

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          『碧と海』 連載小説【最終話】

             予想した通り、夏休みの終わりが近づくと、あの伊豆での日々は随分昔の事のように思えた。  帰ってからすぐに俺は父親と重いザックを背負って丹沢を縦走した。芝の事も誘拐の事も話そうかと思っていたけど、どこからどこまで話すべきか整理が出来ていなかったし、夜こっそりと暗闇の中で泣いている父親の姿を見たら、なんだかどうでもよくなってしまった。  桂木とは、毎日のように会ってる。まぁ、図書館の学習室でだけど。でも、進展もあった。最近ようやく軽いキスができるようになった。あんなに

          『碧と海』 連載小説【最終話】

          『碧と海』 連載小説【43】

           気がつけば、一週間が経っていた。  電気を消した部屋で、ベッドに寝転がりながら思う。終業式の翌日に家を出たから、夏休みはまだ丸々一ヶ月もあるのだ。学校が始まる頃にはきっと、今のことを随分昔の事のように思っているのだろう。  寝られず、閉じた瞼に映る白い影を追っていると、コン、とドアを叩く音がした。俺はそっとドアに近づいて、気配を探る。 「俺」  小さな声だが、碧のだと分かる。俺はそっと鍵をはずし、ドアを開けた。碧はするりと俺の横を通り抜けて部屋に入る。電気を付けようと

          『碧と海』 連載小説【43】

          『碧と海』 連載小説【42】

           シャワーを浴びて砂と眠気を洗い流してから、俺は桂木をバスで駅まで送っていた。 「帰ったら、受験勉強だな」  うんざりしたように桂木が言う。 「あぁ。ここんとこ何もしてないしな」 「とか言って、佐倉、余裕そう」 「そんなことない」 「あのさ、あれだったら、あれっつうか、さ、教えてくれない? その、勉強」 と、鋭い視線を突き刺す。人にものを頼んでいるとは思えない表情だけど、それが桂木らしくて可笑しい。 「いいよ。つうか、初めてだな。桂木に頼りにされるの」 「勉

          『碧と海』 連載小説【42】

          『碧と海』 連載小説【41】

           処置室を出ると、桂木と碧が白いソファに座って待っていた。  二人の顔を見たら、驚くほどホッとした。なんだか、長い長い旅から帰ってきたような気分だった。 いや、本当に長い旅だったよ。  そして俺は、横浜に帰る前に数回カウセリングを受ける事になった。つまり、様子見、ってこと。  俺たちは碧が運転する軽ワゴンで『アリゾノ』に帰った。 「碧、お母さんはどうだった?」  隣で運転する碧に聞いてみる。そう、碧も大変だったのだ。 「あぁ、うん。生きてた」 「そっか、よかった」

          『碧と海』 連載小説【41】

          『碧と海』 連載小説【40】

             ■■■  夢で見るオレンジ色の灯りの正体が分かった。  「心のクリニック」に戻り、芝辰朗に記憶を戻して欲しいと頼むと、処置室というのか、そう言う部屋に通され、オレンジ色の灯りを見つけた。部屋の真ん中には一人用のリクライニング出来る白いソファがあり、薄暗い部屋で、間接照明のオレンジ色の灯りがぼんやりと漂っていた。  芝は低い、ゆったりとした声で俺に語りかける。  俺はゆっくりと目を閉じる。そうなのだ、俺は記憶を取り戻しにわざわざ電車に揺られてきたんじゃないか。外で待って

          『碧と海』 連載小説【40】