POP VIRUS を聴きながら【小説】
「聴いた? 星野源の新曲」
「MV観たよ」
「やばくない?」
「めちゃめちゃかっこいいよな」
「POP っていうからもっとポップなの想像してた。いつもそうだけど、想像を超えてくるよね」
「俺さ、VIRUS ってビールスって読んでた。でもさ、風邪のビールスとかウイルスをビールスって言う医者いない?」
「ラジオをレイディオって言う感じ?」
「そもそも英語をさ、日本語に……。ブルース・ウィリスさ、俺ブルース・ウイルスだと思ってたんだ」
「誰?」
「知らねぇの? ダイハードの」
「それよりさ、歌詞の ”はじまりは〜ふふん〜っふふん〜むふむふむふふむ〜音楽だった” のところ鳥肌立つくらい好き」
「むふむふは言ってないけどな。俺はさ、”口から音が出る病気” ってとこがいいな。歌詞で病気って言葉あんまないもんな」
「わかるわかる! ちなみにあんたは ”尻から屁が出る病気” だよね」
「普通だろ。 おまえは ”足から匂いが出る病気” だけどな」
「なんだと、こら。”耳から脳みそ出る病気”のくせに」
「言葉に気をつけろよ。俺は ”爪からナイフが出る病気” なんだぜ」
「私なんか ”肩からハンマー出る病気” だからね」
「ハンマー出ても怖くありませ〜ん」
「肩からハンマー出た後、背中からマイティ・ソー出ますー」
「なんだよ、マイティ・ソーって。チェーンソーかよ」
「まじ? 知らないの? よく知らずに生きていられるな 」
「そこまでのもの?」
「じゃあ、教えてあげよう。星野源は、”愛してる”って歌詞をこれまで使ったことがないのです」
「……はい」
「今回が初めてなんですよ。愛してるって歌詞」
「うん」
「これまでずっと言わなかったからこそ、深く感じない?」
「マイティ・ソーは?」
「そんな話はしてねぇよ」
「えー、なんでキレてんの」
「ちょっとまじめな話するからふざけないで。あのね、”君を探してる” とか ”君を愛してる” とか、この歌はラブソングなのかなって思ったの。でも何度も聴いてたら、”音楽を愛してる” って言ってるんじゃないかって思ったの。源くんの ”音楽を愛してる” って想いがすっごく伝わってくるんだ」
「それは、わかる。ホント、音楽好きなんだなぁって感じるよな」
「早くCD届かないかなぁ。届いたら一緒に ”ニセ明” 観ようよ」
「ニセ明で思い出したけど、アキラの金田の誕生日って知ってた? 俺と一緒なの」
「……は、誰だよ。アキラのカネダって、カネダアキラじゃねぇの?」
「知らないの? おまえ、よく知らずに生きてられるな」
「はい、ハンマー出まーす。背中からマイティ・ソー召喚しまーす。もう一緒にニセ明も観ませーん」
「わかった、ごめん。……あと、愛してる」
「……どういうことでしょうか」
「深いだろ?]
完
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