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こころ磁石

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私らしく心の赴くままに綴ったnoteを集めました
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#エッセイ

私はなぜ小説なんだろう

私はなぜ小説なんだろう

 私はなんで小説というジャンルを選んでしまったんだろう。昔から別にそんなに本を読むのも好きだったわけじゃなかったし、むしろ昔はお絵かきをする方が好きで、親にも絵が上手いねとさんざん言われた。絵の道に行くと思ったと言われたこともある。でも、私は言われるほどそこまで上手くはなくて、ただ見たものをそのままに近い状態で描けるだけだった。頭の中だけで描いたものは描けず、理想とは程遠いかたちで紙の上に具現化さ

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趣味とは言えない

四月。別れの季節であると同時に、出会いの季節でもあるといいます。

あなたはまず、初対面の人にどんなことを訊きますか?名前や所属は当たり前として、次に訊くのはきっとこう。

「趣味はなんですか?」

相手の趣味嗜好を知って、少しでも共通の話題を探そうとするためにこの質問を口にすることでしょう。

だけど私は、この質問をされると必ずと言っていいほどすぐに口が開けません。

別に趣味がないってわけじゃ

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彼がえがく世界を、わたしも

彼がえがく世界を、わたしも

物語のアイデアに行き詰まって、ライトピンクのミュージックプレイヤーを手に取る。

イヤホンをつけると溢れてくるのは、五月蝿いほどギターを掻き鳴らす音、衝撃的なフレーズの数々。流れ込むのは私じゃない誰かの世界。でも、そのどこかに自分の面影はうっすらと、太陽が姿をあらわした時に消えゆく影みたいに存在している。

がなり声がさざめくギター音とともに耳の奥に振動して、心を貫いていく。ふとミュージックプレイ

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飛ぶ鳥跡を濁さず

飛ぶ鳥跡を濁さず

一年という月日は、鳥のように思える。
一日一日がどんな日だったかは、鳥の1枚1枚の翼の色鮮やかさが証明し、全体を通してどんな年だったかは、その一つ一つで構成された鳥がどんな体形をしているのかで分かる。それはもちろん人それぞれ違う。

 私の場合、基本的には小鳥で、采色のない灰色なのだが、その中に特別綺麗な色の羽根がある。ピンク、オレンジ…人の優しさに触れたり、感動したり、彼らは温かな色に色付いてい

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終わりなきストーリー

終わりなきストーリー

14歳の頃、ある物語をつくった。

それは、当時好きだった漫画やライトノベルの好きな要素だけ織り交ぜたバトルファンタジーで、設定も展開もつぎはぎだらけの借り物。カッコいいと思った言葉を意味もわからず使い、やたら登場人物が多い。全てが未熟を絵に描いたような駄作だった。

多分それが、私が一番最初に生み出した物語だった。

当時使っていたのはピンクのキャンパスノート。色褪せてところどころに傷が見える。

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