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『わたしの美しい庭』凪良ゆう

私の精神安定剤とも言える、"癒し本"の一冊である『わたしの美しい庭』。本屋で偶然出会った時、表紙に惹かれて買った。話題の表紙買いだ。
植田たてりさんの線のあるイラストは私の好みだった。それだけでなく、単行本の方はタイトルロゴが彫られていて高級感がある。気に入ってすぐに読み始めたことを覚えている。

最近文庫版が刊行され、人生で初めてサイン本と出会った。単行本で既に持っていたけど、この本と出会ったはじめから、サイン本を見つけたその日まで「たまたま」が重なっていたことに縁のようなものを感じて購入した。
文庫本の表紙のイラストは単行本と同じだけど、ラメ仕様で傾けさせるとキラキラと光って可愛い。製作さんの工夫というか、この本への愛を感じる。太陽の元で読みたくなる。

私はこの作品を癒しだ、精神安定剤だと書いたが、内容はそんな穏やかなものではない。縁切り神社が屋上にあるマンションを中心とした話で、登場人物たちはドロドロとした感情や鬱と縁を切るべく、そこへやってくる。

ではなぜ私にとって癒し本になったかと言うと、登場人物たちの健気で、静かに前に向かって歩いている姿から勇気を貰えるからだ。ダイナミックでない展開は新しい触感の作品だった。きっとこれから何度も読むんだろうなと思った。

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