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読んだ本(2024年11月上旬)

11月上旬の読了本。
上旬は意外と読めた。


成瀬は信じた道をいく / 宮島未奈

知らぬ間に多くの人に影響を与えながら、我が道を突き進む成瀬あかり。幼馴染の島崎が故郷に帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており…!? 「成瀬は天下を取りにいく」の続編。

図書館で予約本が一気にきた本のうち三冊目。本屋大賞作品の続編。
成瀬が京大の一回生になった時の話がメイン。相変わらずの軽快な文章で読みやすい。
何だか成瀬の周辺が感化されて、変な人の集まりになっていっているような気がする。

京都ぎらい / 井上章一

中華思想、姫と坊主、東京“外資系”、寺と花柳界、古都税、怨霊鎮め、町屋の闇…。さげすまれてきた「洛外人」が、京都人のえらそうな腹のうちを暴露する。洛中千年の「花」「毒」を見定める新・京都論。

筆者は洛中人ひいては(古い意味での)京都が作る秩序そのものを嫌っている。それはそれで本書の味なので良い。
問題はこの本の読みにくさだ。一つは読点(、)の多さ。ぶつぶつ切りすぎて読むときに勢いがつかないし、話の区切りがどこにあるのかがわからないくらい読点が打ってあるので一度頭の中で整理しながら読むことになる。もう一つはひらがなの多さだ。それは漢字で書けよというところもひらがなで書かれている。これも読んでいて単語がどこで区切れているのか、意味を振り返りながら読むことになってしまう。本当に読みづらい。担当の編集者は読まずに印刷に出したんだろうかと思うほど。

 KBSホールでの話は、この本も、くりかえしになるが、ふれている。ただ、その話だけが、書くのをためらうようなそれになっているわけではない。一冊全体が、そういう書きっぷりになっている。
 ひとことで言えば、洛外でくらす者がながめた洛中絵巻ということになろうか。そして、もしこれがなんらかの禁忌に触れるのだとすれば、以下のように言うしかない。すなわち、この街は、洛外の人間による批判的な言論を、封じてきた。それだけ、洛中的な価値観が、大きくのさばる街だったのだ、と。

『京都ぎらい』6ページ(アマゾンのサンプルより)

一文目からぶち切りすぎ。この長さなら読点なしでも良いだろう。「繰り返し」とか「触れている」が仮名なのも読みづらい。二段落目の「すなわち」からの一文も同様。読点なしで構わない。切りすぎているがあえて意味を持たせられるのは最後の「、と。」くらいだろう。この調子が一冊まるごと200ページ強続くので読むのがしんどい。
朝日新聞出版の編集はもっと真面目に仕事をした方が良いと思う。

推し、燃ゆ / 宇佐見りん

ままならない人生を引きずり、祈るようにアイドル上野真幸を推すあかり。ある日、真幸がファンを殴って炎上し…。

2021年1月の芥川賞作品。最近文学賞受賞作品を多く読んでいるような気がするが特に意味はなく、シリーズものを読む暇と元気がないため単発ものを読んでいる。芥川賞作品は短中編なのでさっと読めるというのもある。
何だか推し云々以外のところが痛々しくて全く面白さは感じられなかった。文学的な良さはあるんだろうが自分はそこに向けた感性はないのであんまり、という感じ。

田沼意次 汚名を着せられた改革者 / 安藤優一郎

幕府の財政難に立ち向かい、民間活力も取り入れ、バラエティーに富んだ新規事業を積極展開。だが、商人が贈る賄賂により政治が腐敗、失脚し…。賄賂政治家と言われ、その評価を曲げられた田沼意次の改革者としての実像に迫る。

図書館で新資料の案内にでてきて貸出中になってなかったのですかさず借りにいった。
田沼意次の印象といえば子供の頃にならった「賄賂をとる悪徳官僚」なのだが、当時の時代背景や後の体制を率いた松平定信の後処理のためのやり方から過度に悪い評価がされているのだという事がわかる。
最近日本史で「以前の通説は実は違いました。」という情報が良くでてきている(研究者が未発見だった資料研究を進めているからだが)がその中のひとつ。

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