部署や役職は、ただの組織の役割でしかない
こんにちは、今週も更新がんばります!
これまでの記事では、目的コミュニケーションについて書いてきたのですが、そういった背景もあって、最近「組織って何のためにあるんだろう?」ってことを感じることがあります。
私が現在サポートさせていただいている会社さんは、20名規模〜1000名超など組織サイズはいろいろとありますが、ある程度の年数が経っている会社で共通して感じるのは、上司と部下などの縦のレイヤー間、横の部門間の狭間によって、どんどん情報の流動性が悪くなり、業務の見える範囲が狭くなって、個別最適が進み、タコツボ化しているということです。
ものに例えるなら、板チョコ。本来は1枚の板なんですけど、それが縦と横で割られていけば、15-20分割されるイメージ。割られてしまうと、一つひとつは小さくなってしまい、周りと引っ付かなくなる。
例えば、私が支援する取っ掛かりのHR支援は採用周りの支援が多いのですが、採用アプローチを強化するだとか、採用コンテンツを作るとか、そういった見せ方ややり方だけを変えても、本質的な改善につながらないことがあります。
一つの例ですが、なぜ採用が必要なのか?と元をたどってみれば、「定着率が悪くて退職者が多いので、新規採用をしなきゃいけない」ということであれば、採用ミスマッチの解消もあり得ることは睨みつつも、解決すべき課題は定着サイドにあります。いくら輸血をし続けても、出血が多ければ、組織の中の人材は逓増しません。止血が必要ですよね。
ただ、この止血施策は別の部署が担当している(教育研修や人事評価関連は別部署など)だったり、離職要因は現場で発生していることが多いのですが、現場には介入できないだったりと、「自分たちの範囲ではないよね…」と諦めてしまい、結果として本質的な改善施策を検討できない・検討のハードルが高くなってしまうという事例が良くあります。(時には、領域外のことに口を出すなと言われると、もう何も言えませんよね)
そもそも、組織を分化させる意味って何だろうか?と考えた時に、いま当たり前のように、部や課といったものが存在していると思うのですが、元々あったわけではなく、組織の拡大によって生まれたもののはずです。
例えば、社長一人で創業をしたなら、社長一人だけじゃ対応できなくなって、そこから他の人にやってもらう業務を切り出して、役割を任せることで組織が生まれたわけで。
そもそも組織の分化とは、組織活動を回すための役割でしかなく、分化によって決裁権限も付与し、意志決定スピードを上げて効率化するためのものだと思います。(それなのに、本来の目的とは逆に意志決定スピードが落ちてしまうのは何とも皮肉なことです)
それは意思決定の「権限」を持っているだけであり、決して「権力」とイコールではないと思うのですが、それがいつしか、権力や守備範囲を作り出してしまい、口を出すことを咎めたり領域侵犯だと言ってしまったりするのは悲しいことです。
部門とは、組織の生産性を高めるために、あくまで組織の役割を分けただけ。「権限」を「権力」と混同した時、余計な歪みが生まれてしまうと思います。本来なら、領域侵犯なんてないし、会社のためになることであれば自分の領域を飛び越えて発信することは、どんな立場の人であれ歓迎されるものであるはず。
また、役職についても、組織の中で最適化された役割でしかなく、人としての上下までを決めるものでもないし、偉いわけではありません(いま、支援先の人事制度をリニューアルをしていますが、意図的に役職手当ではなく役割手当という言葉を使うようにしています)
生産性を高めるための機能分化が、狭間の調整によるコミュニケーションコストを高め、生産性を逆に下げることになっているとすれば、本末転倒ですよね。
目的コミュニケーションは、このような硬直化した状況を打開する上でも大切な視点だと思っています。狭間で軋轢が生まれる内容のほとんどは、どうやってやるのか?などの「手段」レベルのものが多いからです。
「何のためにやるんだっけ?」「何で領域を飛び越えてまで提案をくれているんだろう?」と上段の視点を持って背景を理解できれば、目指すゴールは共通のものになります。手段は、あくまでそのゴールに対しての方法でしかありませんし、手段・やり方にこだわった議論に陥ると、手段が目的化してしまい、個別最適化され、どんどんタコツボ化してしまいますよね。
冷え切って諦め感が漂った組織では、切り離されたチョコは固まったままです。一人だけじゃ難しいですが、熱量を上げられる仲間とともに組織の温度を上げて、チョコを溶かしましょう。そしたら、割れてしまった狭間も引っ付きます。
その熱を生み出す種火は、人事から起こすこともできるんじゃないでしょうか。時代が求める、攻めの人事と言うのであれば。
それでは、今週はこの辺で!
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