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引き上げて、落とさない!アトラクト採用のキホン

今回はまた人材採用のテーマでお届けできればと思います。


自分たちでは現状の課題に気づきにくい

結構今さらな感じはあるかもしれませんが、これだけ人材採用が難しいと叫ばれるようになった中でも、強者戦略を取り続けているがゆえに採用に苦戦しているというケースが見受けられます。

中小・ベンチャー企業といった、もともと採用弱者からすると、当たり前やん!という思われる今回のnoteですが、そこそこ規模感のあるBtoBの中堅企業や歴史のある企業では、マーケットを見る感覚が育っていなかったり、自分たちのスタンスややり方が良くも悪くも固着化しており、人材採用マーケットでの自社の力関係を冷静に把握できていないために、悪気なく自分たちのやり方を変えられていないケースもあるようです(そういう意味では、自分たちは採用弱者であると自己認識することが先かもしれません)。

自分たちに矢印を向けて変えられる企業と変えられない企業の採用競争力の格差がどんどん開いてしまっている現実があり、採用支援会社も基本的には母集団形成や人材の紹介など、プロセス改善には口や手を出さないことが多いため、企業は気づかぬうちに置いてけぼりを喰らっているケースも多いわけです。

じゃあ、何で採用支援会社はプロセス支援に踏み込まないか?というと、お金の産まない掲載後のフォローに工数がかかるのが面倒だったり、また、プロセス改善に踏み込むと顧客の現状のやり方を批判することにつながるので、本音を言いにくいのだと思います。(私個人としては、しっかりと顧客の成功という本来の目的に向かって、仮に相手にとって痛いことであってもしっかり言ってくれる方が逆に信頼できるのですが、これはスタンス次第ですよね)

話を戻します。では、いまの時代に必要な採用はどんなやり方か?と言うと以下の図のようなイメージです。(恐ろしく単純化したチープな絵になっていますが、ご容赦ください、、、)

引き上げて、落とさない

これが基本的なアトラクト採用のプロセスです。少しずつ意向度を引き上げていくのではなく、早期段階で意向度を上げ切って、そこから下げない、まず”アトラクトファースト”で進めるという考え方です。

これまでだと、大量に母集団を形成して、そこからふるいにかけて、少しずつ情報を提供して魅力づけしつつ、数を絞り込んで内定を出す。そんな採用選考プロセスが当たり前でした。

ですが、今は大量の母集団を形成できる採用マーケットの環境ではありません。そもそも労働力人口が慢性的に不足し、候補者の方が強い超売り手の時代です。もちろん、採用でバッティングする競合も試行錯誤をしており、悠長にしていてはすぐに競合に競り負けて、選考中に辞退をされてしまいます。

ちなみに、「アトラクト」とは、魅力づけのこと。

これまでは、見極め(アセスメント)を中心とした面接で「当社への志望動機は?」「で、君は何をしたいんだね?」など、ふんぞり返ってやっていても誰も何も言えなかったのですが、それは買い手優位のマーケットだったからです。

今は、逆。候補者が企業を選べる時代です。そんな時代に、ふんぞり返ったおじさんが偉そうに面接するだけで、誰も行きたいとは思いませんよね。(何なら、個が強い時代になっているので、SNSやクチコミサイトなどで企業の悪評が拡散されるリスクすらあります)

ファーストコンタクトで意向度をいかに上げるかが勝負

上記の単純化した図でもお分かりのように、初期接触での自社への意向度アップが最大のポイントです。

もちろん、候補者全員に対して平等に対応できることが理想ではありますが、現実的には採用活動にかけるリソースも限られており、いかに取捨選択をして、自社の求める人材要件に近い採用確度の高い人材を早期に囲い込めるか?が大切になります。

自社の採用要件を明確にした上で、初期のレジュメ段階でSABCなどの判定によって対応の優先度をつけ、SやAに近い候補者をいかにプロセス上で”えこひいき”するか?は企業の採用活動で必要な戦術です。

これは、「弱者は局地戦で確実に勝つ」というランチェスター戦略の一騎打ちの法則に基づいていますが、リソースの乏しい弱者が勝つためには、早期段階での対象の絞り込みによって、局地戦に持ち込むことが必要不可欠だと思っています。

※本記事が人事の方向けの限定公開ではないので、候補者側の人たちからすると、それってどうなの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、企業活動として予算や人的リソースが限られている中、全体最適を実現する上でどこに投資をするのか?という視点は一般的であり、また、採用管理上このように優先度をつけて対応することは一般的に行われているのが事実であることはご理解いただければと思います。(あくまで、自社の人材要件に照らし合わせての優先順位付けという意味合いです)

初期段階から意向度を上げるために、今日からできること

改めて、初期段階での候補者の意向度を高める上で、今すぐにでもできそうなことを整理してみました。こう見ると、採用人事はディレクター/コーディネーターだなって思います。

  • 採用要件を定義する(must/better条件など)

  • SABCランク付けの判定基準を作る

  • SABCランクごとに採用プロセス上の対応方針を作る(必要に応じて、現場への採用活動への協力を依頼する)

  • 候補者の経歴やレジュメから、自社のどの部分にフックしそうか仮説を立てる

  • 仮説を踏まえて初期接触までのコミュニケートをし、候補者の期待感を高める

  • 初回接触日時の確定後、それまでに候補者とコミュニケーションのラリーをすることで、自社へのエンゲージメントを高める(初回で聞きたいこと確認したり、事前情報を提供することで初回の面談設定率や当日の面談の質が上がる)

  • 候補者の魅力づけができ、情報ニーズに寄り添える社内人材をアサインする(ITエンジニア採用ならVPoE、中小・ベンチャーなら社長など)

  • 初回面談者にも自社へのフックポイントの仮説を共有する(必要に応じて検討までしてもらえるとベスト)

  • 初回接触はカジュアルな場作りで、見極め面接ではなく、あくまで相互理解やニーズを引き出すことによる価値提供・提案を行う場とする

  • 自社への志望動機を最初から求めない(志望動機は求めるのではなく、与えるもの)

  • 面談後、面談内容を踏まえたフォローアップのコミュニケーションによって、意向度を高める(選考移行率を高める)

*応募前から認知や期待を高める採用広報的な取り組みなどもありますが、今日からすぐに即効性があるものではないため除外しています。

採用要件、つまり自社の求める人物像を明確にすることが全ての起点です。その基準があるからこそ、戦略的にターゲットの絞り込みもでき、フックポイントの仮説も立てられ、採用ミスマッチも軽減できるはずです(逆に曖昧だと、かけるリソースを絞り込めずに、結果的に採りこぼしが増えてしまいます)。

▼もっと知りたい方は、よろしければこちらへ

また、一般的には面接では志望動機を聞くことが当たり前の風潮がありますが、志望するに値する情報を企業側から与えていないのに、動機を聞いたところで、外部に発信されている情報から表面上の舌触りの良い言葉を聞くだけになってしまい、ほとんど意味がないと思っています。

「志望動機は候補者が持ってくるものだ!」という先入観は捨てて、志望動機は候補者と一緒に作っていく、すり合わせていくものだ、くらいの気持ちで向き合えれば、候補者の自己開示や自社との共通認識に対する理解も進み、フィット感をお互いに判断できるのではないかと感じます(結果的にフィットしなかったとしても、このように向き合ってくれたことは、印象の良い採用体験として残るものです)。

今回は、この辺で!

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