20周年を迎えるMMORPGをいまさら(後編)
来年11月で20周年を迎えるらしいMMORPG『World of Warcraft』(WoW)を始めてみたらそこは台湾だったの後編です。
接続先のサーバーについてざっくり調べてみたところ、アカウントの「国/地域」の設定を変更すれば他地域のサーバーを選べるようになるっぽいです。そりゃそうですね。
ただ、アカウントの設定項目のうち「国/地域」はカスタマーサポートに申請しないと変えられないので、どうしようかなと。わざわざ手作業で変えてもらったとして、すぐまた戻してもらうのにはためらいがあります。
うーん。なんとも決断しかねるので、今は「保留」しておくことにします。まだ始めたばかりのトライアル中なので、最初に課金するときまでに決めようと思います。
FFXIVとの違い
WoWをプレイしての第一印象は「FFXIVに似すぎ」です。もちろん似せたのはFFXIVの方ですけどね。
FFXIV(FINAL FANTASY XIV)が初動でコケて作り直すことになったときに、吉田プロデューサーが「WoWはグローバルスタンダードだから、それにあわせる」というようなことを言って堂々パクリ宣言していたのは知っていましたが、「ここまで似せていたのか」と驚きました。
吉田Pの発言の一例を引用しておきましょう。
考え方は理解できます。パクリが連続したのをグローバルスタンダードと呼ぶかどうかはかなり微妙なところですけどね。「赤信号、みんなで渡れば……」って、やつじゃないかなあ。
FFXIVも一時期プレイしていたことがあるのですが、FFXIVがWoWに似ているのは見た目だけで、中身というか理念はずいぶん違うような気がしました。
そもそもBlizzard社の『Warcraft』、あるいは『Starcraft』も含めた"Craft"シリーズはもともとシミュレーションゲーム(リアルタイムストラテジー、RTS)ですから、フィールド上にいる敵味方のキャラクターが"動的"に活動するのが前提です。一方、和製RPGの多くでは、フィールド上のキャラクターは物語を断片的につなげて語るためのトリガー、立て札のようなものでしかなく"静的"です。
よく言われるのは、フィールド上にいるNPCが場所を移動したり、モンスターと戦ったりするか否かの違いですが、表面的にこれができるかどうかは大きな問題ではありません。重要なポイントは、実体を持ったキャラクターたち(NPC)によって世界が形作られている(と感じられる)か、そしてプレイヤーの小さな行動が世界に"作用"を与えられるイメージを(少しでも)持てるか。その本質は、プレイヤーのアクションに対して、世界の側から"リアクション"を得られるかにあります。
このリアクションこそが、世界の「手触り」を感じさせ、表現の厚みを増すのだと思います。海外では、昔のUltimaシリーズの頃からすでに大切にされてきましたから、当たり前のことなんでしょうけどね。「NPCの番兵をプレイヤーが襲えるからといって何が楽しいわけでもない」と極論で片付けられる一方で、システム的に制御するのはたいへんなこともあるので、和製RPGではなかなか前提とされずスルーされがちな要素です。
もちろん和製RPGにも「ある事件をきっかけに世界が崩壊! マップが荒廃したものに変化する!」といった要素・表現はあるのですが、たいていは大きなシナリオ上の都合であって、プレイヤーのちょっとした選択や行動の結果ではありません。
そもそも多くの日本人には「ひとりひとりの行動や選択によって、他人や世界に(少しずつでも)影響できる」という感覚がない、求めもしない、ということをMMORPGを通して改めて気付かされた感じがします。
英語力はどれだけ必要か
自分の英語力を試そうと始めたWoWですが、成果は「まあまあ」です。
WoWでは、クエストの内容を表示する味気ないウィンドウに「~を持ってこい」という要約(指示)もあわせて掲載されているのですが、この英文は極めて短く、表現もワンパターンなのでほぼ理解できます。ここだけ見れば、中学校レベルの英語力で充分かもしれません。「行頭の動詞は命令形!」とわかっていれば、最初の語を辞書で引くだけでも見当がつきます。
ただ、この指示に従って"作業"だけをしていてもおもしろくありません。エンドレスで続くショートクエストの連続は、むしろ苦痛です。
そこで、ぼくの場合は辞書をひきつつ背景の物語を翻訳して超スローでプレイすることにしています。『Wizardry』で紙にマッピングをしながらプレイするようなものなので、オールドゲーマー的にはむしろ楽しさが倍増しているかもしれません。
翻訳に自信がないときはDeepLなどの翻訳サービスを使って「答え合わせ」をしているのですが、成績は「だいたいあってる(80点)」という感じ。辞書をひいて80点はひどい! と思うかもしれませんがウフフです。仕事で確認することになる英語文献(海外メディアの報道程度)を以前より把握しやすくなってきたので、進歩はしています。
ただし、WoWのイベントシーンは時間経過で勝手にシーンが進んでしまうため、字幕を読み切れずに「あうあう」となっていることが少なくありません。イベントシーンを理解できるか否かが重要な分岐点になりそうですが、そのためにはあまりきちんと日本語に変換しようとせず「魂で感じる」術を身に着けて、英語のまま理解できるようにならないといけない気がしています。
デフォルメのセンス
ところで、やっぱり巨体のパンダで遊ぶのはつらいので、小型種族のなかでも比較的許せるゴブリンで2代目キャラクターを作ってみることにしました。種族によって序盤の舞台や展開が異なるそうなので、のんびり翻訳旅を楽しみたいと思います。
なお、どうしても小さいキャラクターで遊びたい理由は、
①移動速度が同じでも、体が大きいとゆっくりに見える。
②自キャラで前が塞がれて視界が悪い。
という大きなキャラクターでプレイする際のストレスを避けたいからなのですが、とはいえ見た目も無視はできません。WoWでモンスター系ではない一番小さな種族はノームですが、西洋デザインの小人はなぜこうもちょっとツライ感じなのでしょう。
日本の「デフォルメ」のセンスは超優秀だと思うので、海外にあわせようとせずに自信をもって世界で戦ってほしいなと心底思います。
そういえば「デフォルメ」って……と思って"deformation"を辞書で引いてみたところ、その第一の説明は「本来の形を損なうこと、醜くすること、変形、奇形、変化した形」とありました。え……じゃあ、西洋デザインはむしろ「正義」なんでしょうか!?
芸術用語としては「デフォルマシオン」(フランス語)とも呼ぶようで、こちらは「わざと変形して表現し特殊な効果を出すこと」ということになっています。ひょっとして、フランス産のMMORPGを探したらイイ感じの小人キャラに出会えるのでしょうか? もちろん、このうえフランス語にまで手を出すつもりはありませんけどね。今回のオチにだけ使わせてもらったら、あとは英語の勉強に戻ることにします。
(la fin)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?