【読書】一人で面白く商売をする『小商いのはじめかた』
なぜか黄色い本が好きで、見かけたらついつい開いてしまいます。
そんな黄色本の一つ、『小商いのはじめかた』を読みました。
企業という形態には長い歴史があります。
たとえば世界最古の企業は、日本の社寺建築の「金剛組」で西暦578年創業。
世界初の株式会社は17世紀初頭のオランダ東インド会社。
企業が大きな生産ラインを構築することで、質の良い家具や服などの商品を大量に生産しています。
そのおかげで現在われわれは、さまざまな商品を手に入れることができるようになりました。
しかし会社勤めをしている人の視点で見ると、分業によって自分が担当した商品が実際どのように作られ、どのように販売し、どんな人が買っているのかが見えにくくなってしまったのも事実です。
日本では4、50年前まで、季節ごとに商売を変えたり、複数の仕事を組み合わせて生活するのはごく当たり前のことでした
日本国内で圧倒的に多かった仕事は農業ですが、農家が農耕についやす実際の時間は、総労働時間の半分以下だったとも。
その他の時間は草履づくりや布をつくって衣服をつくるなど、自分たちの生活用品をせっせと作っていました。
本書はそんな「小商い」の始め方を教える本で、小商いとは**「少ない元手で行う商売」**のこと。
この記事では、本書の3つのポイントをまとめました。
本書は以下のような方々におすすめです。
・会社員だけど土日に自分の興味や技術を活かして商売をしたい方
・フリーランスだけど自前のサービスを作りたい人
・学生だけど、企業に就職することに違和感を持っている人
①小商いの5つの魅力
以下、小商いの魅力をまとめました。
①自分で商品を考え、価格を決め、お客さんに提供し対価を得る過程でのプロセスを全てを体験できる。
②中身もやり方も自分で決めれるので、「発見」が多い。
③協力者や道具などの必要な要素を集めて完成させるパズル的要素。
④元手が少ないので失敗できる。
⑤ネット技術を中心に小商いがやりやすい環境。
②豊富な「小商い」の実例から学べる
本書では、元手が少ないところから自分のアイディア少しずつ実現し、現在進行形で発展中の方々**「18の例」**が紹介されています。
まて本書では、大きく以下のグループ分けがされており、自分の興味にあった小商いが見つけやすく構成されています。
・自分が欲しいものをおすそ分け
・ものづくりを進化させる
・遊び心が仕事を生む
・既存のものに価値を生み出す
・地域の中に役割を見つける
個人的に面白いと思ったアイディアをピックアップします。
・山菜採集・和雑貨制作、日知舎
・多肉植物と織物販売、isla del pescado
・柿渋染め布雑貨、ユルクル
・旅する本屋、放浪書房
・壺やき芋屋、やきいも日和
・弁当箱専門店、Bento&co
・移動ケーキ販売(オーガニックでジャンキーな無添加のアメリカンケーキ)、POMPON CAKES
③経験者のアドバイスやアイディアが学べる
本書では失敗を含め豊富な実例をもとに、その実例から抽出された様々な教訓やアドバイスが学べます。
・「小商い」のテーマを考える方法
どのようなテーマを自分の小商いにするかを考えるときのやり方として以下に目を向けるという方法があります。
それは、以下のどちらかで矛盾が大きくなっている仕事を探し、健康的な形を考えるという方法です。
・薄利多売すぎて厳しくなっている業界
・過剰に高額になってしまった商品
つまり働いてる人がきついとか、割高が高まっているという状態の仕事です。
また、儲けを第一にすると小商いには向かず、①自身の生活の充実、②周囲の反応による励み、その次に③収益性を考えて総合的にどう高めるかを考えのが良いとのこと。
・ものづくりのポイント
個人の仕事として「ものづくり」をするならば、以下の3つのアイディアが参考になります。
①受け手も参加できる余白がある
たとえば、材料と場所を用意したキッチンで、料理は参加者に作ってもらうなど。
②品物だけでなく技術を学ぶ機会も提供する
たとえば、パンの売るだけでなく作り方が学べる教室を開くなど。
③素材が勝負所
たとえば、古材を絶妙に組み合わせた家具など。
・まずは実際に行動してみることが大切
先駆者の人にいきなり「やり方を教えてください」と聞いてはいけません。
このような丸投げな質問する人は結局実践しないことが多いとのこと。
それではどうすればいいかというと、人に聞く前にまず自身が仮説を立てて小さい範囲で実際にやってみたり、実践者のサービスや品物を買ってみたりして研究してみることが重要です。
・知り合いのいないローカルで生活の土台を築く方法
まずは外部の人が入りやすい職場を見つけること。
そして、勤め人としての生活をしながら準備。
最終的に独立開業。
おまけ:コラムも面白い
本書では各章の間にコラムがあり、そのコラムがまた面白いです。
特に刺激的だったのが、自由な発想がそのまま商売になった江戸時代のこと。
当時ろうそくは高価で庶民の手に届かないものだったので、大名や武家屋敷などの余裕のある家をまわり、流れ落ちるろうそくの雫を買い取り、再び溶かして型に入れて固めたものを庶民に販売する「ろうそくの流れ買い」。
そして、お湯とオオカミの毛布で猫のノミ取りをする「猫のノミ取り屋」が紹介されています。
黄色くかわいい本で、小商のさまざまな例が紹介されており、とても刺激的な本でした。
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