見出し画像

大丈夫か?webマーケター、マーケティングを知っているのか?

マーケティングと企業支援

こんにちは。 マーケティングアナリストの星野皓太郎です。

色々な文化やコミュニティー、職業の中に入り込んで行動観察やインタビューをすることにより、外部には見えない深層心理や行動要因を分析する、
「エスノグラフィー」という手法で、マーケティング視点でゆるーくお話ししていきます。

またまた飲食店ネタを。

「webマーケティングが専門」という人のアドバイスに2件、出会うことになりました。

それが、同じような回答なんですが、涙
「SNSは必須なので、SNSマーケティングを!LINE、インスタを強化しましょう!」

なんです。

「webマーケターさん、マーケティングって何かご存知?」
閉口しそうになりました。
今日はそんな質の低い事業者支援の事例です。

①食肉加工業者さんへの支援の話

食肉加工業者です。
秘伝の焼肉のたれを活用し、現在発売中の焼肉たれ漬けセットの売り上げを拡大したいです。BtoBが中心なので、自社でもECを展開していきたいです。
さらには、ホルモンなども拡大し、ホルモンたれ漬けセットも開発したいです。どこから手を付けたらよいかわかりません。

これに対して、支援者のアドバイスは以下の通りです。
その支援者は名高い支援組織のメンバー。
中でもwebマーケティングの専門家で数多くの実績がある有名な方。

 「HPが充実していないのが問題です。
  今後ECに展開、つまりBtoCへの展開には、  
  HPの充実が必要です。
  さらには、安価でできる情報発信として、
  SNSも不可欠です。
  SNSで情報発信しなければ、お客様には届き 
  ません。
  ECは基本の楽天、Amazonを展開し、余裕が
  あるならYahooショップで
  も展開しましょう。
  まずは専門家として、SNS発信の立ち上げの
  支援からスタートしましょう。」

こんなレベルの低い、専門家?支援者? 
呆れて言葉が出ません。
結局、自分の得意なSNSマーケティングに誘導しているだけです。
マーケティングの本質がわかっているとは思えません。

私だったら、まず「焼肉タレ漬けセット」の商品力を分解します。
秘伝のタレとは何か。
そのタレ漬けセットは売れているのか? 
どこで、誰に売れているのか?
売れていないのであれば、なぜ売れていないのか?
などなど
まず、そこからだと思いますがね・・・。

いきなり、SNSを立ち上げて、一体何を、誰に、訴求するのでしょうか。
立ち上げてから、誰に、何をを考えても良いのですが、順序が逆でしょ。


画像はイメージです

②高級寿司店にインスタを勧めるwebマーケター

大都市の繁華街に店を構える高級寿司店のケースです。
創業40年、創業者と後継の長男がすし職人としてお店に立ち、
売上の多くの比率は企業の接待利用と、繁華街の同伴・アフター利用が占める、高単価・高級寿司店です。

後継者として、将来を考える長男の相談です。

コロナを何とか乗り越えて、今までの伝統とお客様からの信頼で、堅調な売上を推移しています。
ところが、将来を見据えた場合、基本的な㏋を作っているだけで不安です。インバウンド対応も全くやっていません。
SNSも全くやっていません。飲食店なので、インスタやエックスをやらなくてよいのか、心配です。

これに対して、webマーケターの痛い提案。
 「接待は今後接待費縮小が見込まれるため、
  新たなターゲットを今から獲得しておくこと
  が必要です。
  現在、HPに掲載しているお店で提供している 
  商品を見る限り、”映える
  商品”が少なくありません。インスタで情報発
  信し、LINEに誘導し、店の会員としてお客様
  を獲得するのです。
  インスタとLINEの支援を行います!」


困ったモノです。
どうして、この2人のwebマーケターの支援は手段から入るのでしょうか?
接待専用の高級寿司店、インスタで情報発信してLINEで集客なんて、そんな客層が本当にそのお店の客層として合っているとは普通は思えません。

高級寿司店がSNSで集客するとすれば、今と顧客層が大きく変わります。
営業時間やメニューが同じままで良いはずがありません。
私だったら、安易なSNSで、そのお店が築いてきたブランド価値を落とすようなことは絶対やりません。

売上拡大の視点では、ランチ営業が提案できます。
現在のこの店の開店時間は17:00。
セオリーとしては、ランチ専用のメニューを開発。高級寿司ランチの店舗とします。
その繁華街には高級ランチを展開する店は極めて少ないことも良い点かと。
”高級寿司店が始めた映える高級寿司ランチ”ならば、SNS展開はアリです。

現時点は売上・利益に困っていないので、次期経営者である長男と、ブランド価値をどうするか、そのためにポジショニングやターゲットをどうするのか・・・そこからお手伝いするのが、ふつーじゃないですかね。

どうも、この2名のwebマーケターを見ていると、課題の本質よりも、
「自分が提案できる方法」を押し付けているだけです。

こんなことで、世の中、ホント玉石混交。

経営支援の場合、「答えは一つでない」という、”金言”がありますが、
この2つの例は、明らかにマーケティングをわかっていない、クソな支援と言い切って良いです。

悪貨が良貨を駆逐しないで欲しいです。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集