街に突然サーカスがやってきた!
10月某日、ロンドンのとある公園に突如サーカスがやってきた。
それも、ラスベガスからやってきた?歴史あるサーカス団だという。
この手のサプライズイベントは大好物。放っておけるはずもない。
ここでひとつ想像してみて欲しい。
もし、みなさんの住む街に突然サーカスがやってきたら、どう感じますか?
それまで何もなかった公園や空き地に、巨大なテントが突如出現したとしたら?
自分だったらワクワクが止まらない。日常が非日常に変わる瞬間にワクワクが止まらないのだ。
早速チケットを購入し、生まれて初めてのサーカス体験に心躍らせる。
サーカスは知ってるけど、参加したことがない!という人が多いような気がする。自分もその1人だった。
そのため、かなり前からやりたいことリストの中にサーカスが入っていた。
またいつ会えるかわからない。こうしたチャンスは逃せない。
サーカスといえば、古代ローマの「円形闘技場(Circus)」が語源とされるらしい。
かつては剣闘士や戦車競走といった興行が人々の娯楽だったが、時代を経るごとに今のようなアクロバットや動物の芸、曲芸師たちによる見世物へと発展していったという。
19世紀、サーカス団が馬車や船で国境を越えて旅を続けるようになり、文字通り世界を巡る「移動サーカス」の文化が定着したそうだ。
ラスベガスからロンドンの小さな公園にまでやってくるサーカス団も、そんな歴史を背負っているのだろうと思うと、何とも感慨深い。
好奇心が止まらなくなったため、引き続き色々と調べてみた。
なんとロマンがある働き方なんだろう。
大変なことも多いと思うが、旅するように暮らし、人々を笑顔にする仕事。密着ドキュメンタリーなどがあったら見てみたい。
ご存知の方がいたらぜひ教えてください。
そしてついに本番当日。
期待を胸に会場に足を踏み入れると、異国情緒あふれるカラフルなテントや派手な装飾が目に飛び込んできた。
大きなテントがいくつか連なり、内部にはポップコーンやドリンクを販売するブースがある。大型の車が変形してブースになっているようだ。
暖房も効いていて暖かく、居心地がとても良い。
しばし内部を観察したのち、いよいよ会場内へ突入する。
内部は予想以上にコンパクトで、ステージまでの距離が近い。どの席に座っても楽しめる席配置だ。
新しいことを体験するのはいつだって心躍るものだ。開始のドラムマーチと共に、ついにサーカスが開幕した。
子どもたちの手にはピカピカ光るペンライトとポップコーン。上手なセット販売だ。
開始のダンスに目を奪われていると、視界の外から次なるパフォーマンスが展開されていく。
演目は次第に激しさを増していく。
火を使ったり、アクロバティックな演技の数々。
途中で何度か演者が技を失敗し、思わずハラハラしてしまう場面もあったが、それすらも観客を楽しませる要素に変えてしまう。
ミスが起こると、演者たちは笑顔で「おっと!」と肩をすくめ、会場からは暖かい拍手と笑い声が響く。
むしろ、失敗を活かして更に盛り上げようとする。
この“失敗を受け入れる”姿勢は、アメリカの大衆文化らしい寛容さとチャレンジ精神の象徴なのだろう。
舞台演出もまた見事で、音楽や光、煙が巧みに組み合わされ、次から次へと場面が切り替わっていく。
暗転とカラフルな照明を上手く組み合わせ、次の演者の準備を整える。
照明と音声に常に変化をつけ、観客の感情を揺さぶったり、飽きさせないようにしたり。
他にも例えば、一見平凡な幕の裏から突如新たなキャストが登場したり、観客席からサプライズで次の演者が登場したりするなど、視線の誘導も絶妙だ。
人の視線や心理を巧みに操るテクニックに、改めて彼らの舞台設計の巧妙さを感じる。
また、休憩時間の設営の素早さなどにも感動した。裏方の人たちもめちゃめちゃ優秀な方たちなのだろう。
その一方で、時折現実に引き戻される出来事も多々ある。
最前列の家族が途中で席を立って帰っていったり、右斜め後ろの1歳くらいの小さな子が「う◯ち事件」を起こして微妙な香りが漂ってきたり。
こうした予期せぬ“事件”も含めてサーカスの楽しさだろう。
オムツを変えようとするお母さんと、脱走する他の子どもたちといった構図で、また別のサーカスが真後ろで繰り広げられていた。
サーカスではなく、カオスだ。
極めつけは、ピエロが観客席に降りてきて、ポップコーンをバサッとぶちまけるシーン。会場全体が一瞬にして笑いの渦に包まれた瞬間だ。
失敗続きのピエロのキャラクターは子どもたちの爆笑をかっさらっていった。
こうした閑話休題的なキャラクターが何度も登場し、緩急を巧みに操る。
ラスベガス仕込みの演出技術に加えて、会場全体を巻き込むこの「カオス」もサーカスの醍醐味なのだろう。
様々な学びを得られた夢舞台は、演者たちのパレードで幕を閉じた。
移動サーカスは、土地や文化を越えて、人々に笑いと驚きを届けるのが使命なのだと思う。
異国の街々を巡りながら、新しい観客と出会い、笑顔の輪を繋げていく。
遊牧民のようなその生活には少し憧れを抱く。
ロンドンのこの小さな公園で感じた一夜限りの異空間が、どれだけの街で人々の心を動かしてきたのだろうか。
サーカス成功の余韻が冷めやらぬまま、賑やかな喧騒と共に、また彼らは次の街へと旅立っていくのだ。
なんて粋な生き方なのだろう。
※記事内の画像は全て、筆者が撮影したものか、生成AIによって生成しています。
読んでくださり、ありがとうございます!記事がいいなと思ったら、よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!