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"らしさ"を生かす評価者トレーニング最前線 〜個人と組織の成長を促す新時代の人材育成〜

こんにちは、アンドア株式会社の堀井です。多くの企業で悩みの種となっている「評価面談」について、新しい視点からお話ししたいと思います。

「評価面談」の学び直しに最も効果的なのは10月〜12月です。なぜなら多くの企業にとって年度末となる2〜3月は、まさに「評価面談」の天王山だからです。

一方で、こんな話をよく聞きます。

「うちの会社の評価面談がうまくいっていないんです。社員のモチベーションは下がるし、マネージャーは準備に追われるし...何か根本的に間違っているんじゃないかって」

この悩み、皆さんにも心当たりがあるのではないでしょうか?
「評価面談」の問題は多くの日本企業が抱える共通の課題です。

この問題にどう取り組むべきか、そして個人と組織の"らしさ"を生かすための新しいアプローチについてお話ししていきます。


なぜ評価面談は嫌われるのか

まず、現状を正確に把握するところから始めましょう。残念ながら、評価面談は多くの人から嫌われています。これは単なる印象論ではありません。

ある調査によると、働く人のの約70%が評価面談に否定的な感情を抱いているそうです。また、別の調査では、マネージャーの80%以上が評価面談の準備に多大な時間を費やしていると回答しています。

では、なぜこれほどまでに評価面談が嫌われているのでしょうか? 主な理由は以下の3つです。

1.キャリアのゴールが多様化

昔は「管理職になること」や「高給取りになること」が共通の目標でした。しかし、今や個人のキャリア観は多様化しています。ワークライフバランスを重視する人、専門性を追求したい人、社会貢献を目指す人...様々です。この多様性が、従来の評価基準や動機づけを難しくしているのです。

2.「成果主義」という名のアピール合戦

「成果主義」を導入する企業は増えました。しかし、実際には単純な成果だけでなく、プロセスも評価の対象となっています。そのため、上司へのアピールの巧拙など、評価に影響する変数が増えてしまいました。これが、評価の公平性に対する不信感を生んでいるのです。

3.膨大な準備に対するリターンの少なさ

マネージャーは部下一人一人のプロセスを細かく記録し、膨大な準備をします。しかし、その結果得られるものは何でしょうか? 多くの場合、昇進意欲のなさや評価への不公平感の吐露など、組織にとってあまりプラスにならない情報ばかりです。
同時にメンバー側も、膨大なプロセスの精査や面談準備を工夫して、得られるフィードバックは「及第点」というのではやる気がしません。しかも、何故及第点なのか、何をどうしたらよかったのかというフィードバックが闇雲にされてしまうと、「頑張るだけ損」という危険な組織風土に足を突っ込んでしまいます。

これらの問題は、俗に言う「上司ガチャ(評価者ガチャ)」などと揶揄され、一見解決が難しいように思えます。


しかし、私は「評価者ガチャ」
(評価者によって評価が大きく変わってしまうこと)は
解決できると考えています。

確かに、評価者と被評価者双方の苦労はよくわかります。しかし、根本的な問題は評価者トレーニングの不足にあるのです。

多くの評価者は、会社の事業戦略、組織戦略、人事制度の思想を十分に理解しないまま評価面談に臨んでいます。「評価について学んでいる時間はない」と言う人もいますが、考えてみてください。評価面談が不本意に終わることで優秀な人材が離職してしまったら、その損失はいかほどでしょうか?

ある調査によると、3年目の社員が1人離職した場合、会社にとってその損失は約3,000万円にも上るそうです。その人が将来的に貢献する無形資産も含めると、数字では計りきれません。
つまり、評価者トレーニングは決して無駄な投資ではないのです。

最新の評価者トレーニングはここが違う

では、どのような評価者トレーニングが効果的なのでしょうか? 私たちアンドア株式会社は、対話の専門トレーニング企業として、"らしさ"を引き出す評価者トレーニングを提供しています。

このトレーニングの特徴は以下の3点です:

1.事業、組織戦略を言語化し、ありたい人物像を自分の言葉で整理できる

評価者は単なる「判定者」ではありません。組織の戦略と個人の成長をリンクさせる「架け橋」なのです。そのためには、事業戦略や組織戦略を深く理解し、それを自分の言葉で説明できる必要があります。

2.評価の本質を理解し、やるべきことと、やらなくていいことが明確になる

評価の目的は「ランク付け」ではなく「育成」です。この本質を理解することで、無駄な作業を省き、本当に必要なことに集中できるようになります。

無駄なことの代表例は「想定問答集」や「公平さのアリバイづくり」でしょう。そもそもこうしたシナリオを準備する必要が発生するのは、メンバーが評価プロセスに信頼を感じていないからです。

そして多くの場合、メンバーは評価プロセスを全て把握しているわけではなく、評価者であるあなたは私の努力を本当に知っているのですか?と言う、「見ているよ感」の欠如に由来するものです。

なので、国会答弁の上手い切り返しのようなスクリプトを用意する時間があるのなら、評価の本質を学び直し、自信を持ってメンバーと対話できるように練習した方が得策です。

3.対話の型を体系的に学ぶことで短時間で納得感のある面談が実現できる

効果的な対話には「型」があります。この「型」を学ぶことで、限られた時間で最大の効果を生み出すことができるのです。

繰り返し述べてきましたが、評価で何より大切なのは「見ているよ感」です。評価は単に文句のないロジックを組み立てたり、マイナス評価を避けることが本質ではありません。メンバーから見て「よく見てくれている評価者」であることが、評価面談の質を決めるのです。

したがって、評価面談だけで全てが解決するわけではありません。日頃からの習慣形成が重要なのです。

評価者トレーニング全8アジェンダを公開

©︎アンドア株式会社 無断複製、改変、配布を禁じます

では、具体的にどのようなトレーニングを行うのか、アンドア株式会社の評価者トレーニングの全8アジェンダを公開します。

§1.人材マネジメントの全体像

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まず、人事制度の3要素(等級制度、評価制度、報酬制度)とその重要性を学び直します。これにより、評価面談と人材育成・人材開発を連動させることができます。

例えば、ある製造業の人事部長はこのセッションについてアンケートで以下のように答えました。

「今まで評価面談は単なる『査定』だと思っていました。でも、それが人材育成の重要な機会だということがわかり、アプローチが180度変わりました」

§2.経営戦略と組織戦略

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経営上の戦略と人・組織づくりの戦略が紐づいていることを自分の言葉で語れるようになります。また、多様なキャリアについても評価者が助言やフォローができるよう学習します。

ある IT 企業のマネージャーは以下のようにコメントしました。

自社の事業づくりと人材づくりがリンクしていることを、納得感を持って語れるようになって自信が湧きました。部下とのキャリア面談でより具体的なアドバイスができるようになりました。

§3.人事制度の把握

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3大等級(役割等級、職能等級、職務等級)の違いと自社での配分について理解し、等級への誤解や曖昧さを排除して正しく説明できるようになります。

§4.評価制度の把握

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評価面談までの習慣を可視化し、人事評価の3大原則(公平性、納得性、透明性)に基づいて運用できるようになります。

§5.評価基準・ウェイトの把握

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「主観は磨くもの」という原則に基づき、自社の評価基準やウェイトを他の評価者同士が対話し、公正な基準を持つようにします。

ある金融機関では、このセッションを通じて以下のような対話が印象的でした。

評価者間に評価基準についてばらつきが大きいことがわかった。
しかし、評価基準についてマネジャー間ですり合わせができたことで、社員の評価に対する信頼度が大きく向上した。

§6.評価面談の準備

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評価バイアスの自己認知を行い、評価面談前後のPDCAにおいて気をつけるべきポイントを把握します。

§7.評価面談の実施

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対話の型(きっかけ砂時計モデル)やフィードバックのステップを通じて、評価面談をメンバー主体な動機づけの場に変えます。

§8.評価を成長に生かす

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メンバーの持論を言語化することで自己肯定感・自己効力感を生み出し、組織成果への正しい動機づけをデザインします。

これらのアジェンダを通じて、評価者は単なる「判定者」から「育成者」へと変わっていきます。

例えば、ある小売業のマネージャーはこのトレーニングを受けた後、こんな感想を言ってくれました。

今まで評価面談は通過儀礼だと思っていました。でも今は、部下の可能性を引き出す貴重な機会だと感じています。メンバーとの対話が楽しみになりました。


"らしさ"を生かす評価とは

ここまで評価者トレーニングの重要性と具体的な内容について説明してきました。最も大切なのは、この評価システムを通じて個人と組織の"らしさ"を生かすことです。

"らしさ"とは何でしょうか? それは、その人や組織ならではの強みや特徴のことです。つまり、評価とは単に欠点を指摘することではなく、その人や組織の強みを見出し、伸ばすプロセスなのです。

評価面談はメンバーのモチベーションを高める絶好の機会

例えば、私が以前スターバックスで働いていた時の話です。そこでの評価面談は、単に数字の達成度を確認するだけではありませんでした。むしろ、「あなたらしいお客様との関わり方」や「チームへの独自の貢献」といった、その人ならではの強みに焦点を当てていました。

このアプローチは、個人のモチベーションを高めるだけでなく、組織全体の多様性と創造性を促進します。なぜなら、誰もが自分の"らしさ"を発揮できる環境では、新しいアイデアや革新的な解決策が生まれやすいからです。

リ・ブランディングとしての評価面談

最後に、評価を個人と組織の「リ・ブランディング」の機会として捉える視点を提案したいと思います。

「リ・ブランディング」とは、既存のブランド(個人や組織の価値や特徴)を見直し、再定義することです。評価面談は、まさにこの「リ・ブランディング」の絶好の機会となり得るのです。

具体的には、以下のようなプロセスを踏むことで、評価面談をリ・ブランディングの場として活用できます:

  1. 経験の棚卸し 過去の実績や経験を丁寧に振り返り、そこから得られた学びや強みを明確にします。

  2. 意味づけ それらの経験や強みが、組織にとってどのような価値を持つのかを考えます。

  3. 目標設定 個人の強みと組織のニーズを踏まえて、今後の目標を設定します。

  4. 習慣変容 目標達成に向けて、日々の行動をどう変えていくかを具体的に計画します。

この「リ・ブランディング」のプロセスを通じて、個人は自身の価値を再認識し、組織はその個人の新たな可能性を見出すことができるのです。

例えば、ある IT 企業での事例を紹介しましょう。営業部門で働いていた A さんは、数字は達成しているものの、自身のキャリアに迷いを感じていました。評価面談で上司は A さんの経験を丁寧に聞き取り、その中から「顧客の潜在的なニーズを見抜く力」という強みを見出しました。

そこで、A さんは自身を「顧客価値創造のスペシャリスト」として再定義し、新規事業開発部門への異動を決意しました。この「リ・ブランディング」により、A さんは新たなモチベーションを得て、組織にも大きな価値をもたらすことができたのです。

このように、評価面談は単なる「査定」の場ではなく、個人と組織の可能性を広げる「リ・ブランディング」の機会なのです。

評価者の努力が組織文化を変える

ここまで、評価面談の課題と新しいアプローチについて詳しく見てきました。最後に、評価者の皆さんへのメッセージを送りたいと思います。

私が研修講師や組織開発コンサルとして現場社員の声に向き合うとき、最も胸が痛くなる声が、

「自分は居ても居なくてもいいのではないか?」

という孤独感です。

この感覚は評価者の努力で解消できるのです。

適切な評価と建設的なフィードバックは、社員に「自分は見られている」「自分の貢献は認められている」という実感を与えます。そして、この実感こそが、人々をモチベートし、組織を活性化させる原動力となるのです。


私たちアンドア株式会社は、「本来の力を思いのままに」という事業ミッションのもと、一人ひとりが持つ潜在能力を最大限に引き出し、個人としても組織としても成長を続けていけるよう、サポートを続けていきます。

皆さんも、自身の評価スキルを今一度見直してみませんか? 真の評価者への第一歩は、自分自身を見つめ直すことから始まります。そして、その一歩を踏み出すのに、遅すぎることは決してありません。

誰もが「この会社で頑張れてよかった」と言えるような組織づくり。それは決して夢物語ではありません。今、私たちにできることから始めていきましょう。

アンドア株式会社では、この記事で紹介した評価者トレーニングをはじめ、様々な人材育成プログラムを提供しています。皆さまの組織の課題に合わせて、最適なソリューションをご提案いたします。

一緒に、個人と組織の"らしさ"を生かす、新しい評価の形を作り上げていきましょう。



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