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コーヒー何それ記 ~ 焙煎編③ ハゼの章 ~

ご覧いただきありがとうございます
しじみとれです

前回更新から約3か月たってますが、やっと焙煎編③の更新です
さて、前回は焙煎の核心に迫るとして水抜きを解説しました。今回は2回発生する「ハゼ」です
これらを書籍と焙煎士さんから聞いたお話をもとに解説していきます!

本記事は焙煎編③になっています。①と②を見てからだとより一層わかりやすいと思いますのでぜひご覧ください!

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再硬化・ガラス化

図1 コーヒー焙煎の温度と含水量 コーヒーの科学より一部加筆して抜粋

前回までこの図1の真ん中あたりにある「水抜き Gold Color」までの現象まで解説しました

水抜き、豆の含水量が減ると豆はゴム状態からガラス状態といわれる再硬化していきます。物理的に焙煎状態が激変していくので重要なポイントです

温度が低いときはガラスのように硬く、ある一定の温度(ガラス転移温度)を超えるとゴムのように軟化します。ガラス転移温度は物質に含まれる水分の量によって変化し、含水量が高いほど低い温度でゴム化します。

旦部幸博 コーヒーの科学 より

水分が減っていくとガラス転移温度が上昇し、豆の温度がどんどん上がっていきます。この時豆の中で何が起きているかというとゴム化していた細胞壁がガラス化していくのです

→細胞壁が伸び縮みし変形し内部の圧力が逃げ出せなくなる
 「小部屋」の圧力上昇
→小部屋のドロドロ(不明物質含むコーヒーの味の正体)は圧力で細胞壁に  
 押し付けられ圧縮され内部の高圧・高温化で焙焦反応が進む
→豆全体も大きく膨らんで表面のしわが伸びる
→内部に多数の空隙(くうげき)があるので指で挟んで砕ける「硬くてもろい」状態

この状態になると一応飲める焙煎豆になるとのことですが、今までこのコーヒー状態で提供しているお店を見たことがないので、あまりおいしくはないということなのですかね?

ハゼって?

ハゼというのは何なのかというと、焙煎の中で「パチッ」や「ピチピチ・・・」と豆が音を発することを指します。コーヒー以外の食品でいうとポップコーンと同じコーンが爆発することもハゼと言うそうです。原理は同じです

そして、ハゼはコーヒーのおいしさ・香りのバロメーターとして重要な指標でもあります。豆は2回ハゼ音をだしその一回目が「1ハゼ」、2回目を「2ハゼ」と言います
このハゼ音が出るタイミングをRoast Design Coffeeの三神氏は「Develomrnt Phase(焙煎後期)」と言われています

テイストが発達する期間ではあるものの、転化した味覚/香味成分は焙煎の進行によって燃焼もしくは更なる転移が進んでいきます

Coffee Fanatic三神のスペシャリティコーヒー攻略本 三神亮

また、苦味や甘味、酸味の成分が激しく短時間に変化する部分でもあります
その反応の一部と主な成分が以下の図2になります

図2 ハゼの化学反応 コーヒーの科学より一部加筆して抜粋

図が見にくいかもしれません!がこちらを見ながら以下のを見ていけばわかりやすいと思います

苦味・酸味・甘味の解説を過去にしています!各成分の詳細は下記noteをご覧ください

ちなみにこのハゼの段階で豆を覆っている「シルバースキン」という薄皮が大量にはがれます。チャフと呼ばれています
ご家庭のコンロなどの家の中で焙煎する際にはご注意ぐださい

1ハゼ

ガラス化が終わると豆の表面にあったしわが伸びていき、次第に膨らんでいきます
この膨らんでいるときに「1ハゼ」が発生します・・・が音が発生しない時があったりととても分かりずらいと言われているのです
このときに発生する炸裂現象で豆に隙間ができ、そこから熱量が内部に入り込みます。このことを発熱現象 Exothermic Reactionとも言われています

この1ハゼは非常に重要な場面で

1ハゼの起きた地点=コーヒーの香味が生成されたすぐあと

コーヒーのおいしさの方程式 田口護

と言われてます。図2の真ん中あたりが1ハゼの部分ですが、香りの生成や酸味の生成が最高潮の場面です

いわゆる「浅煎り」から「中煎り」がこの場面なのです!なので明るい酸が感じられるのはこの「物質」たちがいるからなのです!

ちなみにこの1ハゼ音は豆のどこから出ているのかというと・・・分かっていません
詳しく言えば観測ができていないのですが、構造的には以下のところから出そうです

豆の内乳の間センターカット奥の隙間からではないか、とのことです
・隙間が塞がり、水蒸気とガスが逃げ場を失って内圧が上がり破壊するから
→隙間が完全に塞がるかどうかは内乳の丸まり方や膨らみ方、乾燥途中に豆がひび割れが起きるかで1ハゼが発生するかどうか変わる

というのが現在の説だそうです

2ハゼ

1ハゼが終わった後にも焙煎を続けると今度は「ピチピチ・・・」の音と共に豆がハゼます。このハゼ音はたくさん聞こえるの1ハゼと違ってかなりの割合で聞こえます

2ハゼは豆の内乳の板の中央付近から発生すると思われているそうです
また、このハゼ前に炭酸ガスが豆内で発生しこれが炸裂する正体だと考えられています
この炭酸ガスが発生する直前にビニルカテコールオリゴマーという「苦味物質」が発生するので2ハゼ=深入りのバロメーターとしてとらえることができます

図2でも1ハゼ後から苦味物質が生成されているのがわかると思います。また、コーヒーの色の物質もできています。反対に酸味の物質がなくなっているので深入り=苦いというのを科学的に表しています

焙煎の終わり

ここまでハゼについてみてきました。基本的に1ハゼに入った段階で自分が目指す「味・風味」の段階になった時点で豆を取り出し急速に冷却します

冷やす理由は図1にあるとおりこの時点の豆は高温で窯から出しただけでは余熱(カロリーと呼ぶ方もいます)で焙煎が進んでしまい想定以上になってしまうのでそれを防ぐためです

これで焙煎は終了し完成!!と思いきや実はすぐに飲むよりも何日かエイジング(熟成?というよりも置いておく?の方が正しい?)させてから飲むのが「焙煎したて」のコーヒーとして一般的に出回っていいるのです
お店によっては。または自家焙煎すれば焙煎したてホカホカの豆を手に入れてすぐ飲むことも可能です

まとめ

というわけでハゼの解説でした!ハゼの工程がコーヒーの味・香り・色と水抜きがおわった後の最後の調整になるので決まった味が出せたら最高ですよね

最も工程を知っているからある程度狙ったものを出せるかもしれませんが、焙煎の気象状態や温度、湿度も大きくかかわってくるので再現性や大量生産は大変だとかんじます

次回は焙煎編最終回!豆の油や鮮度についての解説予定です!!

参考文献・サイト

旦部幸博 「コーヒーの科学」2016 講談社
田口護 旦部幸博 「コーヒー おいしさの方程式」2014 NHK出版
三神亮 「Coffee Fanatic三神のスペシャルコーヒー攻略本」2022 文芸社
百珈琲 「キナ酸とキナ酸ラクトン」

終わりに

3か月ぶりの更新でした!いつの間にか2024年になってました・・・
日に日に時間が過ぎるのを早く感じます
焙煎編は次で最後になります!この記事が皆様のコーヒーライフに少しでも役に立てばと思っています

今回の記事いかがでしたでしょうか?
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しじみとれでした

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