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監修…河合敦『謀反の通信簿』

 ある人物の謀反はなぜ成功したのか?

 逆にまた別のある人物の謀反はなぜ失敗したのか?

 もしその謀反が起きなかったら日本史はどうなっていたと予想されるか?

 を考察していく本です。

 幕府に対して。

 主君に対して。

 肉親に対して。

 日本国内だけでも、これまで数多くの謀反が起きました。

 下克上。

 寝返り。

 恐怖。

 怒り・怨恨。

 反撃。

 戒め。

 謀反が起きた理由は様々です。

 この本では、一人ひとりの人物の謀反に対して、通信簿形式の成績表が設けられています。

 「大義名分」「采配」「勝敗」「影響力」「総合結果」について、1から5までの評価が行われています。

 その評価は著者の価値観によるものなので、他の方が見れば「いいや違う」と思うかもしれません。

 しかし、わたしは「こういう捉え方もあるのか。それなら確かに評価5かも」といった感じで目から鱗でした。

 なお、この本で「たいへんよくできました」の評価をもらっているのは、大海人皇子、里見義堯、竹中半兵衛、中臣鎌足、織田信長、陶晴賢、武田信玄、徳川家康。

 「機密を漏らさぬ信頼できる人物を仲間に引き込めるか。苛烈な政策ばかりを部下に押し付けていないか。部下からの提言にきちんと耳を傾けられているか。それらはいずれも現代社会に通じるものばかりです」

(監修…河合敦『謀反の通信簿』 P005から引用)


 と書かれている通り、謀反の歴史を学ぶことは、現代を生きる人の生き方の教訓となります。

 それが本当に「謀反」だったのかはタイムマシンでも無い限り確かめようの無いことですが…。

 しかし、歴史は勝者によって都合良く書き換えられていくもの。

 もしかしたら、現代の歴史書においては「横暴だったから成敗された」とされている人物が実は全くの無実だったり、「主君の仇討ちをした忠義者」とされている人物が実は黒幕だったりするのかも…?

 そういう想像が出来るのも、歴史を学ぶ面白さの一つですね。



 〈こういう方におすすめ〉
 憎しみ、裏切りといった人間くさい心理に興味がある方。
 日本史が好きな方。


 〈読書所要時間の目安〉
 2時間前後。


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