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Photo by
hikiyose_0
著…谷崎潤一郎 絵…ねこ助『人魚の嘆き』
満たされない。
若く、美貌に恵まれ、人並外れた家柄と財を持ち、美女たちを侍らせ、美酒を味わっていても、満たされない。
いつだって退屈。
心を燃えすものが何もない。
そんな主人公のもとに、ある日、妖しくも美しい人魚が運ばれてきて…。
…という小説です。
⭐️Kindle版
⭐️単行本版
※注意
以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。
運命の出会い。
月並みですが、この小説を読むと、そんな言葉が脳裏に浮かびます。
身を焦がすような、その人と出会う前と後とでは世界がまるきり変わってしまうような、そんな邂逅を待ち望んでいる人は少なくないのではないでしょうか?
この小説の主人公も、魂が震え、歓喜に満たされました。
涼しい瞳、濃い黒髪、そして体の内側から月の光が照り輝いているかのような純白の皮膚を持つ人魚の虜になりました。
恋心は募るばかり。
けれども、人魚は主人公に「私を恋しい故郷に帰してください」と求めてきて…。
この恋が成就するのかどうか気になった方は、是非この小説を読んで確かめてください。
賛否両論があるかと思いますが、わたしはこの結末が好きです。
主人公と人魚、それぞれの心の機微を感じさせるから。
〈こういう方におすすめ〉
人間と異形の恋物語が好きな方。
〈読書所要時間の目安〉
1時間くらい。
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