著…浅田次郎『アジフライの正しい食べ方』

　「おっ？」と興味を惹くタイトルですが、食事作法の本ではありません。

　旅にまつわるエッセイ本です。

　ユーモアのある文章が安定したリズムで紡がれるので、とても読みやすいです。

　⭐️Kindle版

アジフライの正しい食べ方

　⭐️単行本版

アジフライの正しい食べ方

　※注意
　以下の文は、一部のネタバレを含みます。

　特にわたしが興味深く感じたのは、著者が海外に行くとどういうわけか入国審査等の際に止められがちなこと。

　ある時は、病気でもないのにマスクを着用しており、しかも突然外すという挙動を怪しまれて。

　ある時は、ラスベガスで過ごすための軍資金として一万ドルもの現金を持っていたのと、持病のために大量の常備薬を持っていたのを訝しがられて。

　作家にとってはこういうこともネタになるので美味しいのかと思いきや、

どうやら私は国際的な悪相であるらしく、各国の通関時にはしばしばこの仕打ちをくらう。べつだん疾しいところはないからかまわないが、手間も時間もくう。ましてこのときは、トランジットに余裕がなかった。

（著…浅田次郎『アジフライの正しい食べ方』P39から引用）

　というから大変！

　実害が出ていますよね。

　幸い、著者が英語でどうにか説明したのと、その直後に超怪しい人物が現れて検査官の意識が完全にそっちへ注がれたので、事なきを得たそうですが…。

　どんなことも面白いエピソードとして昇華出来る、その文章力の高さに惹きつけられました。

　作家さんって凄い。

　〈こういう方におすすめ〉
　読みやすいエッセイをお探しの方。

　〈読書所要時間の目安〉
　２時間半くらい。
　ゆったりと味わいながら読むのがおすすめなので。