著…青山さくら、川松亮『ジソウのお仕事 50の物語で考える子ども虐待と児童相談所』
虐待事件のニュースが流れる度に「ジソウは何をやっていたんだ!」と批判されがちな児童相談所。
この本は、児童相談所で働く児童福祉司の体験をまとめた本。
子どもたちやその家族のプライバシーを守るため、この本に出てくる人物名や家族背景等は一部変更されているようですが、児童相談所で働く方々がどんな仕事をしているのか具体的なイメージを知ることが出来ます。
虐待、障がい、非行など、児童相談所に寄せられる相談内容は様々。
この本に描かれた50のエピソードはどれも痛々しいものばかり…。
特に、我が子が家族などの身近な人物から性的虐待を受けていると知りながら我が子を助けない親のエピソードにわたしは腹が立ちました。
助けないばかりか、自分の生活を継続するために我が子へ我慢を強いようとする親もいます。
けしからん!と思うのですが…、単に「こんな親はけしからん!」と思うだけでは何の解決にもなりませんよね。
そこには貧困の問題や、実は親も虐待を受けた過去がある・或いは現在も虐待を受けているなどの世代を超えた問題などを複合的に含んでいる場合もあります。
他人事だと思わず、様々な社会問題に関心を持ち、自分に出来るワンアクションを起こすことが必要ですよね。
児童相談所で働く人に限らず、一般の人だって、例えば夜ひとりで歩いている子どもに「どうしたの?」と声をかけるとか、ちょっと気にかけるだけで世の中を少し変えられるはず。
例えば、SNSに他人が写り込んだ写真をアップしない、といった意識づけをするだけでも良いと思います。
夫のDVから避難しているのに、たまたま知らない人のSNSに姿が写り込んでしまって居場所が夫にバレて、仕事を辞めて引っ越さないといけなくなった、という人もいたりするので…。
「自分には関係ないことだ」と思わず、まずは自分に出来ることから関心を持っていきたいです。