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編…河出書房新社『14歳からの映画ガイド 世界の見え方が変わる100本』

 作家、精神科医、学者、芸人、声優、映画監督といった様々な立場の方たちが映画について熱く語っている本。

 『大脱走』、『七人の侍』、『インターステラー』、『ひまわり』、『スタンド・バイ・ミー』、『ローマの休日』といった有名作品をはじめ、マニアックな作品も紹介されています。

 「自分だったらどの作品を14歳におすすめするかな?」と想像しながら読むと、より楽しめる一冊。


 同じ作品であっても、観る人によって解釈が全く変わってしまうのが、映画の面白さ。

 「この方はこう思うんだ」と気づくことで、より深く映画の世界を堪能出来ます。

 また、今までタイトルさえ知らなかった作品のストーリーに関心を持つことで、自分の精神世界が広がっていくようなワクワク感も得られます。

 映画って本当に素敵ですね。

 それにしても…、この本は14歳の若者に向けたメッセージという趣旨の一冊なのですが、映画について語りながら自分の人生を振り返っている方の多さが印象に残ります。

 まるで、14歳だった頃の自分へメッセージを送っているかのよう。

 きっと皆さんの、映画への思い入れゆえですね。

 特に10代までに初めて観た作品って、いつまでも心に残りますから。

 しかし、残念ながら、多感な時期にしか感じ取れない煌めきってありますよね…。

 人にもよりますが、きっとたいていの大人には、どうあがいてもその若い感性を取り戻すことは出来ないでしょう。

 思春期に観た時と、大人になった今観るのとでは、作品の受け取り方が変わってしまっているものです。

 けれど、子どもの頃にはどうにもこうにも理解し難かったシーンが、大人になったらストンと腑に落ちることもあります。

 観る度にどんどん味わい深くなる作品もあります。

 それに、「前回この作品を観た時、自分はあんなことで悩んでいたなあ」とかつての自分の感情を呼び覚ましてくれて、より感動出来る作品もあります。

 だから、長生きはするものですね。

 この本の中で朝井リョウさんが言った、

 10代って、とにかく〝選べない〟時期だと思うんです。共に暮らす人、出会う友達、学ぶ内容、行ける場所。何も選べない。
(中略)悩みや苦しみって大人になっても根本的に解決しないんですけど、生きてきた時間が長くなればなるほど、人生に対する悩みや苦しみの割合は小さくなってくれるんです。単純な算数の話です。14歳の今は人生の9割が苦しいかもしれないけど、20歳くらいまで生きたらそれが7割くらいになって、という感じで、自分を悩ませ苦しませるものの存在感は減少していくはず。だからせめていろんなものを自分で選べるようになるまでは、多少ずるいことをしてもなんでもいいから、とにかく生きてみてほしいと思います。
 そういう意味でも、映画は最適です。なにしろ2時間、人生を先へ進ませてくれますから。インド映画なんて3時間もあるんですよ。朝起きてズンと憂鬱でも、『きっと、うまくいく』と『PK』を観たらもう夕方です。あとはご飯食べてお風呂入って寝ればよし。気持ちが沈んでしまう時間を、映画を使ってどんどん飛び越えていきましょう。

(編…河出書房新社『14歳からの映画ガイド 世界の見え方が変わる100本』P22〜23から引用)


 という考え方にも共感しました。

 なんて優しい言葉。

 なんて軽やかなジャンプ。

 みんなでどんどん、朝を、昼を、夜を飛び越えて、生きていきましょう。



 〈こういう方におすすめ〉
 世の中にどんな映画があるか知りたい若者。
 映画について熱く語りたい大人。

 〈読書所要時間の目安〉
 2時間くらい。

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