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著…舘野泉『絶望している暇はない 「左手のピアニスト」の超前向き思考』

 こんばんは。

 周りからどんなに「不利だ」と言われるような状況でも、好きなことを決して諦めたくない…という方におすすめの本をご紹介します。

 プロのピアニストが病に倒れて右手が動かなくなった…というショッキングな内容です。

 絶望してピアノを見るのも辛くなってしまいそうですよね。

 ところが、舘野さんの場合は違いました。

「右手を奪われたんじゃない、左手の音楽を与えられたのです」
(P18から引用)

 と考えたのです。

「右手が思うように動かなくても、好きなことをやめようと思ったことは一度もない」
(P25から引用)
「病気をする前もそのあとも、僕は何も変わらない」
(P28から引用)

 という言葉から、舘野さんにとって生きることとピアノを弾くことは同じだということが伝わってきます。

 凄いことですよね。

 まるで魚が泳ぐように。

 まるで鳥が飛ぶように。

 ピアニストはピアノを弾くのです。

 人は辛い時であればあるほど、「今」も「未来」も拒絶して「過去」にとらわれがちですが、舘野さんはそういう枠にとらわれません。

 ひたすらに左手でピアノを弾き続けました。

 YouTubeで「舘野泉」と検索すると実際の演奏を聴くことが出来ます。

 びっくりするくらい素敵です。

 確かに右手は動いておらず、左手だけで弾いているのですが、目に見えない手が一緒に弾いているかのように豊かな音の広がり。

 なお、この本では病やリハビリについてはあまり触れられていません。

 思い出したくないのかもしれませんし、もしかしたらそれよりも大好きなピアノのことにページを割きたかったのかもしれません。

「むしろ新鮮。地点が変われば、好奇心も大きくなる」
(P15から引用)

 という脅威の精神力に圧倒されます。

 世の中には、病気や怪我で夢を断念した方が沢山いますし、みんながみんな舘野さんのように前を向けるわけではなく、絶望したとしても何ら恥ずべきことはないのですが、それにしても舘野さんのバイタリティーには圧倒されます。

 きっと、絶望する時間がもったいない、その時間を練習や演奏に充てたい、ということなのでしょう。

「手応えを探っている時間も、何かに熱中している時間も、どちらも掛け替えのない〝瞬間〟です。一音一音を味わうように、僕は瞬間を楽しんでいたい」
(P157から引用)

 という人生の楽しみ方をわたしも身に付けたいです。

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