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lazy_planet
著…坂口安吾 絵…しきみ『桜の森の満開の下』
美しいひとと出会いたい。
そう思っている人は多いことでしょう。
…でも。
この小説の主人公が出会ってしまったのは、美しいけれどもおそろしい女でした。
※注意
以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。
女は、その美貌でかんたんに男を籠絡しました。
男は、女の機嫌をとるために、妻たちを殺してしまいます。
女の要求はエスカレートするばかりで、女は男に様々な人たちの首をとってこさせては、お気に入りの首を使って、ごっこ遊びに興じます。
それはつくりものなんかではなく、本物の人間の首なのに。
腐っていくのに。
むしろ腐乱するのも愉快と言わんばかりの上機嫌…。
男は、わがままで残酷で不気味なその女と離れられません。
身も心も虜になってしまったからです。
まるで女郎蜘蛛の巣にかかってしまった哀れな虫のように。
虫がもがけば余計に蜘蛛の糸が絡まるのと同じように、男が少しでも抗おうとすれば、かえって女に支配されるばかり…。
そんなゾッとする物語なのに、作品全体を通して綴られる日本語の美しさや、桜の森の情景の対比に、読者は心を奪われます。
桜の季節を迎える度に、思い浮かべずにはいられない作品です。
〈こういう方におすすめ〉
グロテスクな描写に耐性のある方。
桜を題材にした小説を読みたい方。
〈読書所要時間の目安〉
一時間くらい。
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