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著…ダニエル・タメット 訳…古屋美登里『ぼくには数字が風景に見える』

 こんばんは。

 他の人の目に世界がどう見えているか知りたい方におすすめの本をご紹介します。

 この本の著者の場合、数字を見ると色・形・感情などが浮かんでくるのだそうです。

 例えば、1は明るく輝く色。
 4は内気で物静か。
 6は小さな黒点。
 11は人懐こいのだそう。

 こうした感覚は「共感覚」と呼ばれ、大抵は文字や数字に色が伴って見える人が多いのですが、著者の場合は数字に色・形・質感・動きなども伴っています。

 著者が子どもの頃、算数のプリントを見て「なぜ6より8の数字が大きく印刷されていないのか? なぜ9が青ではなく黒で印刷されているのか?」といった風に混乱したり、どこに居ても「自分は間違った世界に生まれて来てしまった」「消え去りたい」といつも思っていた…というエピソードも載っていて、読んでいて胸が痛くなります。

 著者はπの小数点以下22000桁以上を暗記するという脅威の記憶力の持ち主でもあり、10か国語以上を自在に操り、世界で最も難しく複雑で習得しにくいというアイスランド語をゼロの状態から1週間で習得したという天才ですが、非常にしんどい思いもしているのですね…。

 わたしなどは自分の凡庸さが嫌なのですが、著者のような天才には天才にしか分からない苦悩があることが伝わってきます。

 個性を「才能」として捉えるか「障がい」として捉えるかは紙一重。

 著者の場合は周囲の支えのおかげで「才能」として花開きましたが、世の中にはまだまだ「どうして自分はみんなと同じようになれないんだろう」と独りで悩んでいる方はいるはず。

 そういう方に是非この本を読んで欲しいです。

 著者と全く同じ状況ではなくても、「みんなと同じでなくてもいいんだ」と思えるきっかけになるかもしれません。

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