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著…中村うさぎ『欲望の仕掛け人』

 何かを買いたい。

 高級ホテルに泊まりたい。

 美しくなりたい。

 笑いたい。

 おしゃれな部屋に住みたい。

 美味しいものを食べたい。

 などなど、人間の様々な欲望を刺激して、その欲望をかなえる対価としてお金を得る仕掛け人たちと中村うさぎさんの対談集。

 わたし自身も、そうした欲望のままにお金を使った後、お金が減っただけで心は満たされなかったと気づいて愕然とした経験は一度や二度ではないのに、それでも尚お金を使ってしまうから人間とは弱いものだなと感じます。

 特に、美容形成外科医との対談でうさぎさんが呟いた、

「でもね、わかるんですよ、顔を変えたら違う自分が手に入るような気がする感覚が」
(P72から引用)

 という一言にとても共感しました。

 違う自分になんかなれっこないと分かりつつも、つい期待して、お金を使ってしまうんですよね…。

 お金を使うこと自体は、経済が回るから悪いことでは無いのだけれど…。

 …満たされない。

「欲望はある、でも、本当に欲しいものが何かわからない」
「金はさんざん使った。でも、いつもいつも欲しいものが手に入らない」
(P363から引用)
「私が欲しいのは、『私』なの」
(P364から引用)

 といった文を読んで、喉の渇きや空腹とはまた違う心の飢餓の存在に気づかされました。

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