![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/112063317/rectangle_large_type_2_1566954eaf79e5f021d633da71d927e8.png?width=1200)
著…金澤翔子 文…金澤泰子『心は天につながっている』
一字ずつの書がとても雄弁。
心の脈動が伝わってくる感じがします。
この本を読んでいると、「わたしはこの世界の美しさを少しは知っている気でいたけど、本当はまだ何も知らないのかもしれない…」と思えてきます。
知的障がいを持つ書家とその母の本です。
著者たちは、
●空に浮かぶ雲が、心の赴くまま自在に姿を変える龍に見える
●星が、自分に手を振り返してくれる亡き父親に見える
●遠く離れた人と、月を介して交信できる
といった豊かな感性を持っています。
心の底から羨ましい!
わたしにとって雲は雲であり星は星に過ぎず、いつも通信手段としてスマホを握りしめていますし、それを当たり前だと思い込んできましたが…。
著者たちの場合はそうではないのですね。
わたしも空を見上げた時に、「今日は龍の機嫌が良さそうだなあ」と眺めたり、星に手を振ってみたり、月に想いを託すといった心を身につけたいです。
そもそもわたしは最近下を向いてばかりだった…ということにも、わたしはこの本に気づかせてもらいました。
わたしはなんて勿体無い人生の過ごし方をしてきたのでしょうか。
命ある限り、沢山の美しいものを見聞きしたり触れていきたいです。
また、
「この世で最も美しいと伝えられる王羲之の『蘭亭序』は約千七百年も前の、三月三日に書かれました。その書はあまりに優れていたので、多くの書家が臨書(模写)をしました。しかし、唐の太宗の『蘭亭序』への執着はすさまじく、誰にも渡したくなくて、お墓まで持っていってしまい、遂に幻の書になってしまいました。現存するものは、すべて臨書されたものです。これを上回る美しい書は未だ世に出ていません」
という記述にも心惹かれます。
美への憧れは、大昔も今も変わらないのですね。
きっと『蘭亭序』の真筆も素晴らしいのでしょうが、わたしは『蘭亭序』に近づこうと切磋琢磨する人の心もまた美しいと思います。
いいなと思ったら応援しよう!
![G-dark/本好きの頭の中](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/152725069/profile_1e8d66de2b876d312130652f32e59d66.png?width=600&crop=1:1,smart)