著…金澤翔子 文…金澤泰子『心は天につながっている』
一字ずつの書がとても雄弁。
心の脈動が伝わってくる感じがします。
この本を読んでいると、「わたしはこの世界の美しさを少しは知っている気でいたけど、本当はまだ何も知らないのかもしれない…」と思えてきます。
知的障がいを持つ書家とその母の本です。
著者たちは、
●空に浮かぶ雲が、心の赴くまま自在に姿を変える龍に見える
●星が、自分に手を振り返してくれる亡き父親に見える
●遠く離れた人と、月を介して交信できる
といった豊かな感性を持っています。
心の底から羨ましい!
わたしにとって雲は雲であり星は星に過ぎず、いつも通信手段としてスマホを握りしめていますし、それを当たり前だと思い込んできましたが…。
著者たちの場合はそうではないのですね。
わたしも空を見上げた時に、「今日は龍の機嫌が良さそうだなあ」と眺めたり、星に手を振ってみたり、月に想いを託すといった心を身につけたいです。
そもそもわたしは最近下を向いてばかりだった…ということにも、わたしはこの本に気づかせてもらいました。
わたしはなんて勿体無い人生の過ごし方をしてきたのでしょうか。
命ある限り、沢山の美しいものを見聞きしたり触れていきたいです。
また、
という記述にも心惹かれます。
美への憧れは、大昔も今も変わらないのですね。
きっと『蘭亭序』の真筆も素晴らしいのでしょうが、わたしは『蘭亭序』に近づこうと切磋琢磨する人の心もまた美しいと思います。
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