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著…池坊専永『池坊専永の花を生かすいけばな』
基本的なお花の生け方と、なぜそう生けると美しいのかという理由が丁寧に書かれた本。
数十年前に第一刷が発行された本ですが、ここに書かれた精神性が今もなお参考になります。
花をとり合わせるとき、その数は奇数にしたほうがよいでしょう。いけばなでも偶数は用いません。偶数を二で割り算すると、きれいに割り切れてしまい後にはなにも残りません。奇数には、必ず端数が残ります。割り切れないものがあるほうが、つぎへのステップになるのです。そうして、人の心は発展していくのです。
という考え方が好きです。
割り切れないからこその風情。
そこにものの哀れがあるのだと思います。
また、
池坊では、満開の花よりも蕾を大切にしていけます。蕾は、やがて開く未来を抱いたものだからです。草木の蕾には未来、開花には現在、そして実には過去を託していけています。
という考え方も素敵。
花だけでなく、人間にもそうありたいですね。
満開の、若い時だけを愛おしむのではなくて。
蕾にも、枯れゆく姿にも、その時だけしかない美しさがあるはずだから。
また、わたしはこの本を読んでいて、牡丹は「花王」、芍薬は「花の宰相」と呼ばれていることを初めて知りました。
花そのものも麗しい上に、通常用いられる名前や別名までもが綺麗で惚れ惚れします。
〈こういう方におすすめ〉
お花が好きな方。
〈読書所要時間の目安〉
2時間くらい。
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