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詩…谷川俊太郎 写真…田淵章三『子どもたちの遺言』

 えっ、遺言…? 子どもたちの…? と、ドキッとさせるタイトルの詩集。

 谷川俊太郎さんとしては、

 私はむしろ死に近づきつつある大人よりも、まだ死からはるかに遠い子どもが大人に向かって遺言するほうが、この時代ではずっと切実ではないかと思って、発想を逆転させた。

(詩…谷川俊太郎 写真…田淵章三『子どもたちの遺言』 P109から引用)


 という意図があってのタイトルだそうです。

 安心してください!

 「遺言」と言っても、遺書めいたものではありませんから!

 いつまでも覚えていたい自分の気持ち。

 誰かに伝えたくなる気持ち。

 それが詩として書かれている本ですから。

 言うなれば、子ども時代の自分から大人になった自分へ宛てた遺言だと受け止めると良いと思います。

 また、0歳の赤ちゃんから20歳の若者までの写真と詩が一緒に載っているのがこの本の特徴。

 生まれたてほやほやの0歳の赤ちゃん。
 きっと希望に満ち溢れている頃。

 2歳。

 3歳。

 4歳。
 赤ちゃんの頃は覚えていたことを忘れていき、逆に、赤ちゃんの頃は知らなかったことを覚えていく頃。

 5歳。

 6歳。

 7歳。

 …と、だんだん大きくなっていくにつれて、子どもが自分以外の人のことを気にするようになったり、嫌なことを嫌と言えずに悩んだりするようになっていく様子が描写されます。

 そして20歳。
 周りの人だけでなく、空や花といった限りない世界へ向けてありがとう、と言えるようになっていく頃。

 この本にはそういう心の成長が描かれています。

 …わたしはこの本の20歳の章を読んでいて、その頃の感情を思い出しつつ、「自分は最近ちゃんと周りの人たちに〝ありがとう〟を言えているのだろうか?」と、とても反省させられました…。


 〈こういう方におすすめ〉
 子ども時代の感性を少しでも取り戻したい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間くらい。

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